グルメ・食 雑学

【由来解説】土用の丑の日は鰻じゃなくて「うのつく食べ物」でOK!

2016年7月19日

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「土用の丑の日」というと、うなぎを食べればそれでいい。そう思ってる人、多いですよね。私もそうでした。

でも実はそうではありません。というか、うなぎ食わなくてもいいのです。

いえ、別にそれは「うなぎを食うことは法律で定められていないのである」とか、「元来人間というものはうなぎを食うことを強いられた存在ではなかった」などといううざい議論ではありません。

 

土用の丑の日って実は…

 

「う」のつく食べ物を食べればOK

 

なのです。

詳しく。かつ簡単に話しましょう。


そもそも土用の丑の日とは?

まずここから。

これ、実は五行説から来てます。五行ってなんだか説明せねばなりません。

五行説とは?

「万物は水・木・火・土・金の五元素の性質を持つ」という思想のことです。

世の中のすべてのものは水・木・火・土・金のどれかに分類(組み合わせ)できるよ。ということです。現代から見ると相当おおざっぱな分け方ですが、このおおざっぱさが勝手な解釈の余地を生んで神秘性を含んでくるんでしょうね。

更に、相克関係というのがあります。

相克関係

向かい合う性質は、抑制し調整する関係です。「」は「」を消す力があり、勢いを調整します。「」は「」の養分を吸い、または根をはり勢いを調整します。「」は「」を溶かすことで抑制し、「」は「」の流れを止めます。「」は「」を切り落とし、抑制します。

引用:陰陽五行説|基本思想を3ステップでわかりやすく説明

よくRPGとかで属性攻撃なんてのが出てきますが、ちょいちょいこの五行にちなんだ属性を使ったゲームがあります。特に、RPGツクールだとよくありますね。

 

季節も五行に分類できる

世の全てのものが五行に分けられる…ということは、季節も分けられることになります。「春夏秋冬」という四季を五行に割り振るわけですね。

…まあ、ここまででわかると思いますが、パラドックス状態になってます。4を5に割り振るわけですから。無理です。

てなわけで、とりあえず「春が木、夏が火、秋が金、冬は水」ということになりました。

 

そうですね。「土」が余りました。

ということで作られたのが…

 

土用は季節の変わり目の18日間

「”土”という性質は全ての季節に存在するはずだ」的な考えのもと、各季節の最後の18日間を「土用」と名付けたのです(正確は17日間だったり19日間だったりすることもある)。立春、立夏、立秋、立冬の前18日間ということです。

季節目の変わり目を「土」属性にしてしまったわけですね。

 

ちょいこじつけっぽいですが、こじつけはストーリー作り・世界観つくりに重要ですからね。一見関係なさそうなものをこじつけでうまいこと繋げると一気に物語が生まれてくるもんです。はい、急にストーリーがどうとか語りだした私、実は映画撮影が趣味の変な人です。土用の丑の日とは全然関係ないのでひとまずスルーします。

 

というわけで、これで土用の意味がわかりましたね。根の深い話ですね。

 

丑の日とは?

お次はこっちです。丑の日ってなんや、というとです。これは比較的簡単です。丑というのは、十二支の「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥…」の丑のことです。

十二支というと年賀状で使うように「今年の干支」なんていいますが、年に限らず、方角・月・日にちを数えるのにも使うのです。

 

つまり土用の丑の日というのは…

立春、立夏、立秋、立冬の前18日間の土用の期間の中で、丑にあたる日のことです。逆にわかりづらいですかね。

ちなみに複雑なことに土用は18日間くらいあるので、場合によっては一回の土用の中に二回丑の日が含まれることもあります。その場合、二回目の丑の日を「二の丑」と呼びます。まあ、この知識はそうそう使うことはない気がしますが。

更に複雑なことに、土用の丑の日は上記のように春夏秋冬であるように思いますが、一般的には立秋前の7~8月の土用の丑の日のことを指します。わざわざ夏の土用と呼ぶこともありますが、日常会話で「土用の丑の日」というフレーズを使う場合は十中八九、7~8月の土用の丑の日のことでしょう。

ちなみに2016年の(夏の)土用は2016年7月20日~8月6日で、土用の丑の日は

7月30日

です。今年は丑の日は一回だけです。

 

土用の丑の日に鰻を食べることになった由来

さて、「土用の丑の日」について詳しくなったところで、なんで「土用の丑の日に鰻を食べる」のが一般的になったのか? その理由・由来について書きましょう。

とはいっても、実はこれには諸説あり、確定的な話はできません。諸説あり、が決めフレーズのエグスプロージョンというYoutuberダンサーがいますが、土用の丑の日も踊りにできそうですね。とかいって既に踊ってたらどうしよう…

 

それはともかく、まずは一番有力な説を紹介します。

①平賀源内、商売上手説

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出典:ja.wikipedia.org

こういうエピソードが元なのでは? というような説です。

商売がうまく行かない鰻屋が、夏に売れない鰻を何とか売るため源内の所に相談に行った。源内は、「本日丑の日」と書いて店先に貼ることを勧めた。すると、その鰻屋は大変繁盛した。その後、他の鰻屋もそれを真似るようになり、土用の丑の日に鰻を食べる風習が定着したという。

丑の日と書かれた貼り紙が効力を奏した理由は諸説あり定かではないが、一説によれば「丑の日に『う』の字が附く物を食べると夏負けしない」という風習があったとされ、鰻以外には瓜、梅干、うどん、うさぎ、馬肉(うま)、牛肉(うし)などを食する習慣もあったようだが、今日においては殆ど見られない。

引用:土用の丑の日|Wikipedia

ピンときませんかね。このエピソードの前に「土用の丑の日に”う”のつくものを食べると良い」という習慣がそもそもあったわけです。それゆえ、鰻を食べることもすんなり受け入れられたという風に繋がるわけです。

もう一つ、もうちょい噛み砕いて説明しているサイトから引用しましょう。

江戸時代、あるうなぎ屋(源内が贔屓にしていた)が夏場商売がうまくいかず、源内先生に相談をもちかけたところ、源内が「本日、土用の丑の日」という大きな看板を店先に出した(出させた?)そうです。そして本日うなぎを食べると薬になると宣伝しました。
源内さんが「今日うなぎを食べるといいよ、薬になるよ」と自ら呼び込みをしたのか、店の主人が「源内さんが言ってるよ!」と言ったのかは定かではありません。この部分はおじさんの推理です。

引用:『土用の丑の日とうなぎに関するうんちく』

このような感じです。うなぎは元々夏が旬ではないので売れなかったのですが、イベントみたいにしてうまいこと売りさばいたわけですね。バレンタイン商法の元祖かも知れません。江戸時代のマーケティングです。

この平賀源内説が最も有力な説です。次に、二番目に有名と思われる説を紹介します。

②神田のうなぎ屋春木屋善兵衛説

史実というよりは、仏教説話みたいなエピソード感です。

ある時、春木屋に神田和泉橋の藤堂(大名)のお屋敷から、旅に出るのに持っていきたいと大量の蒲焼の注文がありました。 春木屋の主人、春木屋善兵衛は、子の日、丑の日、寅の日の三日に分けてうなぎを焼き、土蔵に貯蔵して三日間置いたところ、丑の日に焼いたうなぎだけが、色合い、風味とも変わりませんでした。

そこで丑の日に焼いたうなぎを藤堂様にお納めし、お褒めをいただいたそうです。それ以来、春木屋は「土用丑の元祖」の看板を上げたそうです。

引用:浜名湖 山吹|うなぎ豆知識

なんにせよ、本当かどうか確かめる術はないのであります。

③その他の説

その他の説はたくさんあってキリがないので、気になる人は『土用の丑の日とうなぎに関するうんちく』というサイトを見てみてください。

色々あります。

 

というわけで、平賀源内の頭の回転のおかげで根付いたのが、「土用の丑の日に鰻を食べる」という習慣である…可能性が高いというわけです。

ちなみに、もう一つの理由としては、鰻は昔から滋養強壮で疲労回復・食欲増進に効果があると言われていたので、夏に食べることで「夏バテ」対策になっていた、という可能性があります。

 

 

鰻じゃなくて「うのつく食べ物」ならOK!

さて。

これで土用の丑の日にうなぎを食べることになった理由・由来がわかりました。

 

しかし!

途中、「土用の丑の日に”う”のつくものを食べると良い」という習慣が元々あった。と書きました。はい、その通り。土用の丑の日=鰻!というのは(恐らく)平賀源内の経済的大陰謀によるもの。

実際には日本の伝統的習慣にのっとる意味で鰻を食べるというのであれば、実は鰻にこだわる必要はないのです。うのつく食べ物であれば何でも良いのです。

というわけで、うのつく食べ物、紹介しちゃいます。「鰻なんて高くて買えないよ、このブルジョアめ!」という意見の人はこちらを参考にどうぞ。

 

うどん

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やっぱこれです。”う”で思い付く食べ物と言えば、うどんが一番ではないでしょうか。これなら安上がりです。

梅干し

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梅干しです。別に干さずに梅でもいいです。うがつけばいいので。

ちなみに私、好き嫌いはさほどありませんが、梅干しはちょっと苦手なのです。梅酒は飲みます。

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瓜です。きゅうりではなく、瓜ということになっているようです。これも夏バテによさそうですよね。

 

一応、上記の三つがメインらしいですが、まだまだあります。

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そのまんま。丑の日に牛を食べるという、何の捻りもない話

ただ、もしかすると元々は「丑の日に牛を食べると良い⇒うのつくものを食べると良い⇒鰻を食べよう」と来てるんじゃないかな、とか思っちゃったりもします。

馬の肉もありです。馬肉と言えばこの居酒屋チェーン店。別にお勧めではありませんが。

うに

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うまそー。鰻同様にお高いです。

ウィンナー

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江戸時代にはないでしょうけど。うのつく食べ物です。

 

その他…

うずら、ウーロン茶、ウイスキー、うまい棒、上っ面の友情…

なんでもありですね。

まあ、メインは鰻、困ったらうどんで大抵はOKでしょう。根拠はありません。

 

まとめ

「うのつく食べ物」と言いながら、「うで始まる食べ物」ばっかりですね。うで始まるという意味があるのかも知れません。

さて、土用の丑の日には何を食べますか?

 

私は、納豆ごはんを食べようと思います。

 

 

デデーン

 

ーおわりー


 

鰻をテーマにした映画…はないけどよかったらどうぞ

関係ないけどトンテキの由来知ってますか?