おすすめ京極夏彦ミステリー ベスト5【三文】 - フリーBGM&自主映画ブログ|"もみじば"のMOMIZizm

レビュー・レポート 三文 享楽 書評

おすすめ京極夏彦ミステリー ベスト5【三文】

2016年2月23日

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どうも、このブログの管理人紅葉葉くんに改めて紹介されました新参者の三文享楽です。ゲストライターでございます。

 

さて、今回から早速に私の書きたい記事を書かせてもらいますよ、ええ。小説を書いていた人間ですからね、やっぱりまずは好きな作家のおすすめベスト5みたいなことから記事にさせていただきますかね。記念すべき最初の先生はこちら、京極夏彦氏です。

私が最も世界観を変えられた作家の一人でもあるのが、彼なわけです。独自の路線をつっぱしる彼の作品群は、何者にもマネのできないものでしょう。

もう何がいいのか分からない。でも、読み終えてみれば分かる読書という行為の素晴らしさ、考えることの素晴らしさ、語ることの素晴らしさ。

京極夏彦氏の本をしっかりと読んでなにも変わらない人はおかしな人だと思います。読みやすいデザインであり、難解な漢字や言葉を織り交ぜられていて教養がつく。こんな素晴らしい本はないですよ。まあ、前置きはここまでにしまして。

 

 

さあさあ、早速ベスト5三文チョイスにいきましょう!


 

京極夏彦ミステリー ベスト5

第1位 魍魎の匣』

魍魎の匣(1)【電子百鬼夜行】

 

もう圧倒的ですね。

といいいきれないのが、彼の作品。だって全部いいんですから。

 

だとしても、私が一位に推すのは、これですね。

彼の出す第二作目の著作になります。

 

もう最後の匣に入れられていたシーンを読んだ時には、私自身がこのサイコロ本に閉じ籠められてしまったのではないかという恐怖に陥りましたよ。しかし、不思議なものですよね。読んでいて自分の世界観を変えられてしまう恐怖を感じながらもページをめくる手を止められず、怖いにもかかわらず読めば読むほど胸のつかえがとれていき、本を離れた現実世界で戦っていけるような気がしてくるのですから。

それは、登場人物がみな社会の不適合者に近い存在だからなのでしょうか。いえ、そういうわけでもないのでしょう。登場人物のみんながみんな生きている。そして、超然的。キャラが強いのに、キャラクター小説とは言い切れない綿密に組み込まれたストーリーの強さが感じられます。

すみません、魍魎の匣についてではなく、彼の小説全般の話になってしまいました。

 

 

気を取り直して、

第2位 邪魅の雫』

文庫版 邪魅の雫 (講談社文庫)

ぎりっぎりのラインでまた攻めますよね。

遠藤周作の『海と毒薬』を読んだ時と同じような衝撃と恐怖がありましたよ。だって、この主人公たちがこれほどまでに深いところに踏み込んだら、そりゃこのディープな出来になるでしょうよ。この本一冊の中で、どこまで奥深い世界が描かれるのかという読む楽しみがありましたね。

戦時中でも彼らがいればどうにかなったんではないかと、思わされる内容でした。彼らのキャラがあって踏み込める世界です。

 

 

第3位 陰摩羅鬼の瑕』

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)

これもまた第2位に続く読みごたえありきの内容。私が今までに読んだ本の中で、1冊で1000ページを超えたのはこれが初めてのような気がします。

THE サイコロ本

彼の世界の根底にあるものが集約された、これぞ京極夏彦本でしたね。

 

 

第4位 厭な小説』

厭な小説 文庫版 (祥伝社文庫)

厭でした。

読んでいて、生きるうえでの根底にある厭な感情が全て描かれているようでした。なにも解決していないのに、厭という感情の整然とした思考回路に胸のつかえがとれるよう。

明治以前の内容でしか京極夏彦の世界は出せないだろうと、この本に出合う前は思っていたものの、とんでもありません。ここまで他にないタイプの切り口で現代を描けるのかと感服してしまう斬新な小説に感じました。厭なことでもここまで厭に立ち向かうと、厭じゃなくなるものですね。

 

 

第5位 姑獲鳥の夏』

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫)

ここで、彼の処女作ですかね。三文チョイスのベスト5位となりました。

読んだ面白さではトップレベルでしたが、読みごたえと内容の深さ的にベスト2と3、斬新さ的にベスト4には及びませんでした。

しかしまあ、初めてこの小説が送られてきた出版社も驚くでしょうね。だって、今までに読んだことのないようなタイプの小説でありながらも、面白くてミステリー小説としても成り立っているのですから。京極夏彦氏は初めて執筆したこの小説を出版社に送ったそうです。もちろん、小説家として彼の名前はどこにも知られていませんでした。

ちなみに、この作品は映画化されています。京極夏彦氏の小説は文体に味があるのだから、映画で良さがは出せないだろうと思いながら、映画版の『姑獲鳥の夏』を観てみたのですが、悔しいけど面白かったです。そういえば、彼の小説は読みながらも、脳裏にその情景が浮かんできます。映画を全く見る前から映像として私の頭の中では彼らが動いていたのを思い出しました。脳裏に浮かばせながら進んでいくストーリーなのですから、そりゃ、当然に本だけでなく映画も面白いはずです。

 

 

ベスト5を出してみて

改めて、京極夏彦小説は深みがあると思います。

実はこれらの小説を読んだのはもう何年も前です。でも、読んだ時のあの感情はよく残っています。

もしかしたら、みなさまの世界観を変える京極夏彦小説読んでみてはいかがでしょうか。

~三文~