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三文 享楽 書評

山田風太郎(明治幻想小説の巨匠)三文ベスト5【三文】

2016/04/29

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『おすすめ京極夏彦』の記事を投稿してからしばらくが経ちます。

どうも、友達は本だけ、三文です。

ということで、久々におすすめ作家のおすすめ作品5作を記事にいたします。

今回はー、

 

山田風太郎

 

彼もまた骨があり、狂気があり、他の作家には出せない味をもった作家なんですよね、ええ。

現代の作家を見ても、彼に影響を受けた人物は多いですし、実際に彼がいなかったらこのジャンルの小説も遅れていたと思います。忍法を流行させた第一人者山田風太郎の世界は不気味で深く、笑いのセンスもサイコーです。

 

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山田風太郎ベスト5

第1位 『魔界転生』

この幻想性を出せるのだから、さすが山田風太郎ですよ。

よくまあ、歴史上の人物をここまで自由自在に描けるものだなあという感動ですね。過去の偉人、時代が違うのだから当然に違う時代の世界、あの世とこの世を自在に渡れない限り接触なんてできるはずもないというのに、この作品では当たり前のように歴史上の人物が時空を闊歩する。当たり前のように昔の剣士がやってきて、物語が進む。

そしてそれが全くのナンセンスでもなく言語に絶する練磨により到達し、熾烈な執念をもち、非凡な人物ならばなしうるストーリー展開が恐ろしいのですな。

映画化もされているが…

映画にもなっていたので観てみましたが、まあ、よくある話ですが、私は本で読む原作が好きですね。

本を何度も読んで美味しさが分かれば、この映画も幻想性を上手く出して面白いのですが、いかんせん世界観の闇が深すぎる。初見の方がこの映画で山田風太郎の世界観に浸れるとは思えませんでした。それだけ、この作品の闇が深いということです。映画もそうした境地に達した方ならば、見ると面白いと思います。

 

第2位『警視庁草子』

リアルな明治時代の描写、これまた彼にしかできない技のようでした。

読んでいても、作者がこの時代に生きていたのではないかと思わせるほどの事細かな描写で、妄想しようとしなくても読んでいるだけで自然に自分が明治時代にいるような錯覚を味わいます。普通の人が高校時代に日本史の授業で学んだだけのような人たちをここまでリアルに描き、紙の中に息吹を感じさせるのだから感服です。

日本史で幕末から明治時代にかけて苦手な方におすすめです。当時の文明開化の中における社会が警視庁視点でよく分かります。

 

第3位『幻燈辻馬車』

またまた幻想性があふれている作品ですな。

明治時代、馬車をやっていた中年のオヤジを主人公にして誰があの時代を描こうとするでしょうか。読んでいくと、伊藤博文をはじめとする豪華な明治の元勲たちも登場します。しかし、政治だけでないところで登場するのです。それもあくまで他のマイナーな登場人物たちと同列。オッペケペーの川上音二郎や落語家が普通に出てきます。

住む世界が違うのではないのです。これが明治時代のリアルなのです。それを馬車のオヤジという不特定多数の人間を観察できる身分の人間を主人公として描き切るのだから素晴らしいですよ。

で、また単なる視点を借りた観察小説ではありません。馬車で飯を暮らすことになった中年オヤジの葛藤と生活が描かれ、その感情と共に周囲の偉人達も動いているのだから、どれだけの妄想を経て描かれた小説かはかり知れません。

 

第4位『明治小説全集7明治断頭台』

幻想もの、明治時代もの。そのイメージだけで彼を語ることは当然にできません。明治時代の舞台で社会小説かつ推理小説を描くのだからとんでもありません。

それがまた全くのフィクションではなく、警察の香月経四郎と川路利良を主人公にして描くのだから歴史小説的でもあります。川路利良なら警察関係で有名ですが、香月経四郎という人間を主人公にするのだからまあ驚嘆。

そして、その世界を短編にしてまとめてしまう。これができる小説家が彼以外にいるのでしょうか。笑いもあり人情もある。明治時代当時に生きていたってこんな面白い小説をリアルに描くことなどできないでしょう。

で、またカギとなるのが外国人ヒロイン、しかも巫女となってるのだから盛りだくさん。ここでまた山田風太郎らしい幻想性も出てくるのだからてんこ盛り、これぞ彼の集約した世界観ですよ。

あまり長くなく読めるのでひとまず彼の世界観を知りたいというのならばこれから読むのがおすすめです。

 

第5位『伊賀の聴恋器』

ええ、性をここまでなんともなく描き、それを歴史や推理に生かし、しかも忍法というネタをもっているのだから、この作家が強いわけです。この短編集に山田風太郎の「らしさ」が全て詰まっています。いや、第4位の明治断頭台もいいのですが、5位のこちらにはギャグとエロさ、強烈なエンターテインメント性が込められ、山田風太郎のもつ面白さが集約されているのです。ここまで描くには歴史の知識が膨大になければならない、そして文章力も必要である。その両方を持ち合わせたうえで、この性的な嗜好をもって物語化するのだから、これは並大抵の人間にはできない荒業です。

 

ぼやき

山田風太郎の小説は30冊以上読みました。

そのどれもに共通して彼にしか出せない世界観があるのです。どれか読んでみてください。いや、どれかを何冊か読んでみてください。数冊読んだ時点で世界観が変わっていくような感覚になるはずです。

 

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三文 享楽プロフィール

genimg ●ゲストライター:三文 享楽
小説の連載と、一部ブログ記事の執筆を担当。たまーに記事を書く。 『抜本的少子化対策』の著者であり、自主映画『抜本-BAPPON-』の主演であり、元芸人。ぷー

ちなみに三文記事は朝6時~8時頃更新です。
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