不毛な記事

ただただ即興でなにかを書いてみた。結末知らずの執筆練習。

2015年5月29日

本棚
おそらくみなさんご存知ないかとは思いますが、私は実は数年~8年程前に「何も考えずに5分くらいで適当な超長文を書いてみよう」という企画をして、すべてアドリブかつほぼ見直しゼロで日記を書いたことがございます。はい、ご存知なわけがありませんね。

今回は保存の意味も兼ねて、それを掘り起こしてブログの記事にしたいと思います。

さて、それでは始めます。


「1円」

不意に横を見た。

横を見るとそこに広がっていたのはまさに横そのもの…というわけにはいかなかった。
自分を中心として描かれたその世界は自分が横を向いた瞬間に横が前となってしまうのだ。
これを都合良しとするか都合悪しととらえるか、或いははなからそんなことどうでもいいと切り捨ててしまうかは個人の自由である。

なので私はそんなことはどうでもいいと切り捨てることにしようと思う。どうでもいいのだ、そんなことは。
なぜどうでもいいのか、なぜなのか。
特に理由はないような気もするし、重大な理由が潜んでいるような気もする。それもまたどうでもいい。

ではどうでもよくないこととはなんなのか。

考えた。

わからなかった。

どうでもよくないこととは観念的で実態の捉えにくい意味不明なものではなく、100円ショップで買ったものが101円だったとかそういうほんとうにケチ臭い、それでいてすごく現実に即したものごとなのではないだろうか。
私はそう思うような気がする。

だからといって別に私が1円すら惜しむケチ野郎だとか、1円を馬鹿にしたりしない人格者だとかそういう話ではない。
現に私は1円が道端に落ちていても最近は拾わない。1円くらいどうでもいいと思っている証拠だ。昔は拾ったものだが。

だが、そういう行動をすると必ず「1円を拾うときに消費するカロリーは1円以上だ」とか言い出して私の貯金計画を邪魔しようとする者があらわれたものである。馬鹿馬鹿しい。カロリーは1円のように明確な形で貯蓄できないではないか。

1円が1分に一回落ちていたとして全部拾うのを1年間やり通したら確かに疲れるかもしれないが貯金もなかなかのものになっているのではないか。そう考えるとカロリー云々言い出すのはやはりナンセンスなことに思える。

それに、なんとなしに歩いていたら1円が落ちている。たかが1円されど1円。思わぬ幸運に出くわし、その思わぬ幸運(本当に些細な幸運だが)を拾って手にするというその行動のほうに意味があるのではないかと私は思う。

「こないだ1円拾ったんだ、ラッキー!」

「こないだ1円が落ちていたのだが、それを拾ったところでその動作によって消費するカロリーを計算すると1円以上の価値になるので拾うのはやめておいたよ」

この二つのことを言ってくるそれぞれ別の人物がいたとしたら後者は完全にうざったいことこの上ない。うざったいというか「○○をしなかった話」なんか聞いたって仕方がないしなんか理屈っぽくてうざいのである。

とはいえ前者も若干平和ボケしすぎな感はある。そもそも落ちているお金を拾ったら交番に届けるのが義理というものである。でもまあそこの論議は今回は省かせていただく。どうでもいいからである。

ここまで1円を拾うのは損主義者のことをだいぶぼろくそに言ってしまったが、ケースによっては可愛いらしいものである。

「こないだテレビでやってたんだけど、1円拾うのって1円分以上に疲れるから損らしいよ。知ってた?」

「1円を拾うのが例えカロリー的に考えて損だったとしても、1円というささやかな幸福を手にするというその行動が大切なのではないか。それに1円は貯蓄もできる。1分に1回1円が落ちてたとして云々…」

この二つのことを言ってくるそれぞれ別の人物がいたとしたら今回もやはり後者が完璧にうざったい。理屈っぽくてうざい。
前者もテレビの情報を鵜呑みにするなどしている面に少々頼りない感もあるが、逆にとらえれば無邪気にも思える。

つまりこの日記はうざったいのである。そしてどうでもいいのである。
そしてそしてどうでもいいこの日記は切り捨ててしまえばいいのである。

ここまで頑張って書いた結果、この日記は切り捨てるべきという結論に至ってしまった。
もともとは1円がどうとかなんて話ではなかったのだが、話というものはささいなきっかけでどんどん展開していくものである。その点は責められないだろう。むしろうまいこと流れるように話がシフトしていったのは賞賛されてもいいくらいである。

だが、くだらない話であるのにも変わりはない。このほぼ完全アドリブ日記はここで終わる。

結局気づいたら25分も書いていた。
まだまだ速読ならぬ速書の道は険しいようである。

いつかはじっくりと時間をかけて大作を書いてみたいものである。

この日記も1円のように積み重なるものにならんことを。

 


 

 

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