毎日つまらない。
そう思ってはいませんか?
一回も思ったことのない人はすげえ人か、もしくは趣味で映画を撮っている人です。
きっとほとんどの人は、一度は「ありふれた日常にはもう飽きた。刺激がほしい」と思いながら仁王立ちをしたことがあることと思います。
ですがその考え、少し違います。
何が違うか?
ありふれた日常も見せ方ひとつで「まるで物語のように」なるのです!
…というわけで、今回はそれを実践してみた動画を紹介します。
私は普段、趣味で自主制作映画を撮っているのですが、今回はちょっとしたチャレンジをしてみました。
「なんの中身もないつまらない日常のどうでもいい話をまるで映画のようにする」というチャレンジです。
それはどういうことか? 説明していきましょう。最後には実際にそれを実践したムービーを貼っています。
日常を映画の世界に変えるための要素
果たして日常を映画のようにするにはどうするのか?
①構図
ただ単に普通に過ごしているとつまらないようなことも、少し見方を変えるとぐっと面白くなるものです。
見方を変えるというのは、文字通り見方を変えるのです。視点を変えます。
もっとわかりやすくいうと、アングルを変えます。そして、いらない要素を切り捨て、そして一番よく見える構図を切り取るのです。
単純な話、すこししゃがんで姿勢を低くすれば、大抵のものは迫力が増して見えます。構図を工夫するとそれだけで世界の印象が変わるのです。
動画なら、それに更にカメラワークによる工夫も連動してきます。
②色調
サングラスをかけるとその瞬間、世界がなんだか変わって見えますよね。当たり前なことです。サングラスでちょっと暗く見えたり、青っぽく見えたりオレンジっぽく見えたりするからです。
ですが、その当たり前の力は実はかなりすごいものです。色合いが変わるだけで、日常が非日常になる訳ですからね。
日常を撮っただけの動画を、カラコレという作業で色合いを変え、異世界にしていくのです。インスタグラムなんかはこの感覚を手軽に得られるようにしていますね。
③音楽
そして音楽。音楽は人の心を色んな世界にいとも簡単に連れ去ります。その力はこれまた強大です。
例えばトイレに行きたいだけの動画でも、それに「天国と地獄」を流すと面白い感じになりますし、カップラーメンの蓋を開けるだけのシーンでも「ツァラトゥストラはかく語りき」を流すとすごく壮大なシーンに見えます。
もうちょっとまともな例を出すと、森の中でジブリの曲が流れると森の神秘さや怪しさ、壮大さなんかがすごく増大する気がしませんか?
ほかにもモチーフを使いこなすことで、登場人物にキャラクター性をより強く持たせることもできます。
そして、若干技術的な話をすると、音楽の音質(曲の良さというよりは本当に単に音質)がよいと、それだけで映像が引き締まって見える効果もあります。
④アスペクト比(おまけ)
そして、意外と重要なのがこれ。アスペクト比というのは、画面の縦横の比率です。
単純な話、ワイド画面のほうが映画っぽく見えますよね。これは映画がワイド画面だからワイド画面を見ると映画っぽく見える…という経験則に基づいた感覚だとも思いますが、これを利用しない手はありません。
「16:9」や「1.85:1」「2.35:1」辺りが一般的な映画のアスペクト比です。
よく上下に黒帯を入れるのはこのアスペクト比にするためです。乱暴な言い方ですが、あまりこだわりがないなら、「1.85:1」か「2.35:1」くらい横長にした方がパッと見が映画っぽくなると思います。
本当は脚本が一番大事
ここまで書いておいてなんですが、本当は映画は脚本が重要です。そうでなければ単なるPVか映像集かなんかになっちゃいますからね。
ですが、今回はあえて脚本はクソでストーリー性皆無、なんの盛り上がりもない日常であり、それがどうしたという感想しか持たないようなものにします。そんなものでも、構図などを工夫すれば「まるでいい映画のように」見える…ということをやりました。
完全なるハリボテ映画ですが、脚本以外の要素の重要さは伝わると思います。同時に、脚本がないとその他を頑張っても何も生まれない…ということも感じられると思います。両方を伝えられる面白い動画です。
映画とは何か? 『百円玉を落とす苦虫男』
さて、そんな風にハードルを上げ下げした動画がこちらです。
ただ単に「男が100円を落とすだけ」というなんのストーリー性もない内容を、構図・色調・音楽・アスペクト比だけで映画のように仕立て上げました。あえてネタバレした状態で見てほしい動画です。
それでは是非、噂のこの超短編映画をご覧ください。
中身は全くないので、完全なるハリボテ映画としてお楽しみください。
何か始まりそうな雰囲気をまとっているだけでろくなことが起きない…その様子が個人的には逆に面白いですね。いや、ほかの人がどう思うかはわかりませんが、私はそう思います。いい実験になりました。
最後は全ての化けの皮を剥いだ映像で終わりますが、映画を構成している要素がどんなものなのか? というのをなんとなく感じてもらえれば嬉しいです。
…ちなみに中身は全く関係ないですが、タイトルは百万円と苦虫女のオマージュです。この映画、ラスト付近のカット割りが計算し尽くされてて非常に面白かったです。
まとめ
偉そうに書いてきましたが、結局は実験的な遊びみたいなものですね。脚本をしっかり作ったうえで、その他の要素をしっかりとさせれば、本当の意味で面白い映画が作れるはずです。
ですが、すごいロケ地にも行けず、いい役者もおらず、面白い非日常も考え付かない!なんてときでも、「構図」「色調」「音楽」はちょっとの工夫と編集ソフトと音楽素材(もしくは作曲ソフト)があればどうにでもなります。
なので、日常に絶望せずに生きていきたいものです。がっはっは!
◆関連記事
ちなみに構図を学ぶなら、このような書籍で学ぶのが結局は近道でしょう。