自主映画を撮っていて…
脚本を考えて、ロケ地を決めて、役者を集めて、ビデオで撮って、編集して、音楽をつけて…
ここまでしてもなんだかまだまだ映画っぽくない。
なぜだろう?
なんだか現実的というか、ぱっとしないというか、物語に入り込めないというか…
そんな経験はないだろうか?
自主映画を撮っていなければそんな経験はないに決まっているし、自主映画を撮る人間なんて東京に5人くらいしかいないことは明白なのだが、このブログを見ている方は自主映画に興味がある方が多いと思うので、そういう経験があると信じたい。
そんなときに役立つかもしれない「色調補正(カラコレ)」について今回は書いていく(素人知識だけど)。ちなみに、これは初心者向けの記事である。
なぜ映画っぽくないのか
ビデオなどでただそのまま撮った動画は、だいたい味気ない。いいカメラを使っていて、なおかつカメラに詳しくていろいろ凝っていればそのままでもいい感じなのだろうが、軽い気持ちで自主映画を撮る人はそんなに知識がないこともざらだ。
私に関しては、もはや初めて自主映画を撮ったときはビデオすら持っていなかった!
じゃあどうやって撮ったのかと問われれば答えは単純。友達のビデオを借りていたのだ。
その借りたビデオで90分のアホアクション映画大作『抜本-BAPPON-』をいう自主映画を撮った。撮影期間2年程度。持つべきものは友である。新しいカメラも買った今は、そろそろビデオ返そうかな、と思っている。
…と、そんなことはどうでもよく、たいしたことないビデオで適当に撮ると、とにかくホームビデオのような味気ない感じになるものなのだ!
その原因としては、「フレームレート」というものの違いもあるが、大きな原因としては、実は「色」のせいなのである。(脚本がクソである、とかのパターンもあるだろうが、やはり映画は映像。脚本がまともでも、見た目に凝らないとしょぼく見えてしまう)
色のせいだった
色のせいだ!!!
などと騒音おばさんのような私に急に言われたところでぴんと来ないと思う。
なので、
例を交えて説明しよう。
色合いの重要性
色とはいったものの、「色合い」という言葉を使ったほうが雰囲気が伝わるかも知れない。
「映画っぽくないのは「色」のせいだ!!!」 と言ったほうがセンセーショナルなので「色」と言ってみただけなのである。
それでは私が撮った『抜本-BAPPON-』のワンカットを例に、色合いの重要性を感じてもらおうと思う。
ビデオで撮りっぱ→ソフトで色合いを変えたあと
の順に画像を載せていく。
◆ケース1
どうだろうか。
これだけを見ても特になんとも思わないかも知れないが、変な本は手に持っているものの、なんとも思わない画像ではないだろうか。
安いドラマ感はなくもないだろうか? まあ、とにかく撮りっぱなしだとこんな感じの色合いということだ。
次に編集ソフトで色合いを変えた後。
どうだろうか。
ちょっとドラマチックないい感じになってはいないだろうか?
日差しの強さが強調されたような、すこし緑っぽく嘘の世界っぽいような、なんとなく物語っぽさ、映画っぽさを感じる色合いになったのではないかと思う。
そうか?
と思う人もいるとも思うので、もう何ケースか載せてみる。
◆ケース2
これは、役者の顔と、背後が森なのに人物がスーツなことで、なんとなく映画の撮影だなあ、くらいにはなっているかも知れない。
しかしなんだか白茶けている。
これを編集で色合いを変えたのが下記だ。
どうだろうか。
これはかなり映画っぽいような、違う世界の物語のワンシーンのような雰囲気が出たのではないだろうか。
黄色っぽい色合い(実際には「色温度」というのを上げてこうしている)が古ぼけた感じや、温かい感じ、幻想的な感じを出していると思う。これは映画っぽさ10倍!!と思っている。
映画はこんなんじゃねえ!と映画ファンに怒られればそれまでだが…
ほかにもババッと載せてみる。
◆ケース3
◆ケース4
そんなに変わらないものや、もともと映画っぽいような雰囲気のものもあるかも知れないが、編集した後のほうが、なにか「違う世界のワンシーン」な的感じは強いのではないだろうか。
ではどういう風に色をいじったのか?
ちょっと具体的な話
具体的に何をしたかというと、以前の記事(自主映画の制作に必ず役立つ無料ソフト5選 【無料・フリー】 +おまけ)でも紹介した「Aviutl」というソフトや、「Video pad」というソフトを使用して、色合いを変えたのである。
コントラストを強めて、彩度をシーンによって上げたり下げたりして、全体を緑っぽくしたり黄色っぽくしたり…
と、色合いによってうける印象が変わるので、シーンごとにやることは違うが、上記のように色をいじっているのである。
こういったことをするのを「色調補正」だとか、「カラコレ(カラーコレクションの略)」などと呼んだりする。カラコレは映画だとけっこう重要で、これで映画の印象がけっこう変わるほどのけっこうなものなのである。
色温度
Video padというソフトでは、色温度というものを変えられる。上に貼った画像でいうと、ケース2は色温度が高く、ケース3は色温度を低くしている。
色温度が高いと黄色(オレンジ)っぽくなり温かい印象になり、色温度が低いと青っぽくなり、冷たい印象になる。
Aviutlではかなり色々なことができ、「レイヤー」という機能を使って、同じ動画を「オーバーレイ」というモードで重ね合わせてコントラストを強めて、印象的でダイナミックな感じにするのをよくやっていた。
※オーバーレイとは下のレイヤー色が暗い色だと「乗算」、明るい色だと「スクリーン」で重ね合わさる機能のこと。「乗算」「スクリーン」がなんなのかはまた説明しようと思う。
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そうやってコントラストを強めた後に、「トーンカーブ」という機能で赤を弱めたり、青を引いたり…と色々いじって調整をするのである。
この辺を詳しく話すとかなり長くなるので、これはまた詳しく説明しようと思うが、とにかく色合いをいじると、見た人に与える印象が変わり、映画っぽさを感じさせることができるのである。(ただ、フィルムの時代はまた色々とやり方がちがうだろうし、いじりまくるのがいいということでもない)
まとめ
このように、今回はなんとなーく「映画には色が重要なんだなあ」…ということを伝えるためにこの記事を書いてみた。そして関係ないが、今回はなんとなく「ですます調」を試しにやめてみた。
まあ色々書きはしたが、簡単に言うとサングラスをかけていると世界が違って見えたりするが、そのような感じである。それをイメージすればわかりやすいのではないかと思う。
それではみなさんが明日からは違う色の世界を生きていけるように…グッドラック。
仏陀らっきょ
ぽとふ
ここからは自主制作映画紹介コーナー
そんなこんなで、Video pad と Aviutl を使って色合いをいじった自主制作短編映画(インディーズムービー)を載せます! 2015年5月に撮った作品です。
ただ、これは「GH3」という、良いカメラを使用して撮ったので、色合いをいじらなくても結構いける感じでした…! それはでも色合いがどうでもいいということではなく、編集しなくてもカメラで撮った時点で、いい感じの色合いになっているということでしょう。
しょぼいビデオを使っても色をいじれば映画風に変身させられる、というのが今回の記事の趣旨である。
自主制作映画 短編『第三の決着』
練習作品なので粗がありますが…まあ、気になったら見てみてください。