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『いいこと言うなあ』 短編小説風

2015/07/27


昨日は僕にとって非常にいい天気でした。
家の前の駐車場の奥にある林を見ながらそんなことを思いました。

日陰に体を潜めると秋ならではの冷た過ぎない風が心地よく、つまり涼しい。

日なたに赴いてみれば今度は夏の残り火とでも言おうか、日光が温かく体に注がれる…つまり暖かい。

「つまり」で思い出しましたが僕の鼻はいま詰まっています。
困ったものですが、そんな僕の困った気分を吹き飛ばすような秋の静けさが
体全体を包み込んだかと思うと、そのとき僕は暗闇の中にいた。



暗闇の中で声が聞こえる。
僕に向けられた言葉なのか、独り言なのかもわからないような曖昧なしゃべり口だった。
というかそもそも声の発信者の姿はどこにも見当たらない。
外部から聞こえてくるというよりは体の内から響いてくるようなその声に耳を傾ける。

どこから聞こえてきてるのかもわからない声に耳を傾けるのは至難の業だったが、
自分の体の中から聞こえてくる感じなのでそれならばと思い立ち、耳を自分の腹のほうに30度ほど傾けてみた。

「うんうん、確かにそうだよ。いいこと言うなあ。」

その声の主はそう言っていた。

まったくもって意味不明なので憤慨して校舎の窓ガラスを割って歩こうかと思ったが、辺りは暗闇で窓ガラスも見当たらないのでやめた。
その代わりに織田裕二のものまねををしてみたが、ほんわかとした、すがすがしい感じの虚無感が自分を襲ったのでそれも途中でやめた。

それにしてもさっきの言葉の意味は何なのか。
そしてそもそもその語り主は何者なのか。

気づいた。

内から響いてくるようなその声は、抑圧された自分の無意識下から浮かび上がってくる魂の叫びだったのだと。
声の主は自分自身だった。
それも、なんの飾りっ気もない真に素のままの自分。

いつしか僕は自分が誰なのかさえわからなくなっていたのだ。
色々なことを意識し、考え、自分を騙して飾り立てることに夢中でもともとの自分は埋もれてしまっていた。
そう気付いたとき暗闇の中を一線の閃光が駆け抜けた。
闇は切り裂かれ、その切れ目からさっきまでの日常の風景が洪水のように流れ込んできた。

色とりどりの木々、落ち行く葉っぱ、毎日変わらず同じ位置に停まっている駐車場の白いワゴン車、家の前を不機嫌そうに歩く30代くらいのおばさん、秋の澄み切った空、そして僕の家。

そうか、さっきの暗闇は自分の無意識だったんだ。
作られた自分のせいで外の世界が見えないほど奥深くに埋もれてしまっていたんだ。

それがさっき解き放たれた。

僕は"僕"に戻ることができた。

でもあれから数年経った今思う。

人は無意識下の渦巻く欲望や本能だけでは生きてはいけない。
なぜならそれを意識下でコントロールし、理性のもとに動くのが人だからだ。
そう考えると昔の僕の方が本当の僕だったのかも知れない。

でも再び"僕"が暗闇のなかに埋もれることはなかった。

僕はそれからは無意識下の感情だけで生きていった。

そして今、僕は暗い牢獄の中にいる。
これが本当の"僕"を出した結果だ。

いや、最初から本当の"僕"なんかでは無かったんだろう。
暗闇が晴れる前の飾り立てていた僕こそが本当の"僕"だったんだと今強く思う。

人は理性なしでは生きられない。
それが人が人たる所以でもあり、人の背負う悲しい宿命でもあるのかも知れない…。

「うんうん、確かにそうだよ。いいこと言うなあ。」

この言葉が虚しく頭に響いた。

牢獄の日記

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これは、かつて練習としてアドリブで書いたよくわからない小説かなにかです。
当時、「いいこと言うなあ」みたいなセリフが周りで流行ってたので、
それをなんとなく意味深にしたんだと思います。

面白いとことなんともいえないとこがありますが、
ほんとはこういうよくわからないのを書くのが好きなので、
その内、昔のを引っ張り出すのではなく、新作も書くと思います。

いやあ、いいこと言うなあ







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紅葉葉 秀秀逸プロフィール

 ▼記事を書いた人:もみじば(紅葉葉 秀秀逸)
「サラリーマンには創作活動ができないだろうか? いや、できる」の反語を実証する
20代リーマンクリエイター。独学のプロ。リーマンだって"好きなことして生きていく"。
座右の銘:「ラー油の上」 年齢:鳥

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