ドミミミミミ。
いかがでしょうか。なんと…「こんにちは」をドレミファソラシドの音程で表してみました!!ジャジャーン
さて、そんな微塵も面白くない不愉快な導入はさておき、ここでは作曲のテクニックの一つである「クリシェ(半音階進行)」について簡単に解説をします。
この技法は様々な名曲に使われている、王道のテクニックです。これはかなり効果的なので、覚えておいて損はないです。作曲しない人でも知っていると音楽を聴くときに面白いと思います。
実際の名曲も例に挙げて解説します。筆者がドラクエ好きなので、ドラクエの曲でたとえることが多いです。
クリシェ(半音階進行)とは?
まずクリシェについての説明です。これがわからないとこの後の話がわからないですからね。
「クリシェ」というのは、和音(コード)の構成音のどれか一つが、半音ずつ下がる、または上がっていくことを指します。
よくわからないですかね。(半音じゃなくてもクリシェという場合もありますが、今回は半音に絞ります。)
和音(コード)というのは、たとえば「ドミソ」とか「レファラ」とかの和音のことです。
こういうのが和音(コード)です。
そして、和音(コード)の構成音というのは、「ドミソ」の和音であれば、「ド」や「ミ」や「ソ」のことである。なので、「レファラ」の和音の構成音は「レ」と「ファ」と「ラ」のことである。
つまり、たとえば「ドミソ」の「ド」が半音ずつ下がっていくような和音進行があれば、それがクリシェ(半音階進行)です。
クリシェの例
説明だけだと伝わらないと思うので、ここからは実例を紹介しつつ、解説をしていきます。クリシェといっても色々あるのです。
①「ドミソ」の「ド」をクリシェ(下行)させた場合
長調の和音の低音を半音ずつ下げていくパターンです。
①を使った実際の曲
ドラクエ4「街」(少し変形型)
ドラクエ5「街角のメロディ」(妖精の世界での曲)
ドラクエ10「夢のマイルーム」(マイルームでの曲)
↑解説用サンプル曲(途中からちょっと自由)
これはこれで良いですが、個人的にはクリシェは短調の和音(マイナーコード)に使った方が効果がわかりやすいかなと思います。
曲は載せると著作権違反になるので、CDを買ったり公式動画を探してみたりしてみてください。すんまへん。
②「レファラ」の「レ」をクリシェ(下行)させた場合
半音ずつ音が動くことで、繊細な情緒、そしてその情緒が徐々に変化してゆく移ろいを感じられるような、そんな響きを生み出せます。
②を使った曲
ドラクエ3「おおぞらをとぶ」(空を飛んでいるときの曲)
ドラクエ4「のどかな熱気球のたび」(空を飛んでいるときの曲)
ドラクエ5「死の塔」
ドラクエ7「失われた世界」(過去フィールドの曲)
ドラクエ9「星空の守り人」(エンディング曲)
久石譲「HANA-BI」
↑解説用サンプル曲(「おおぞらをとぶ」を意識)
ここまで、和音を半音ずつ下げてきましたが、半音ずつ上げていってもOKです。
③「レファラ」の「ラ」をクリシェ(上行)させた場合
音が半音ずつ上がっていくと、今度は少し切羽詰ったような、怪しいような感じになりますね。
③を使った曲
ドラクエ4「おてんば姫の行進」(アリーナのテーマ曲)
ドラクエ6「ぬくもりの里に」(村の曲)、「さすらいのテーマ」(フィールドの曲)
ドラクエ7「遥かなる空の彼方へ」
↑解説用のサンプル曲(「ぬくもりの里に」的な伴奏)
さて、クリシェにはまだまだパターンがあります。今までは半音ずつ変わっていく構成音以外は同じ音をキープしていましたが、「構成音の一つが半音ずつ変化して、それ以外の構成音も半音ずつではないが変わる」というのもありです。
④全部の音が変わるクリシェ
こんな感じです。
これは応用がいくらでも効くので、効果も様々ですが、和音進行の困ったらクリシェを取り入れると、スムーズにいくことも多いです。ただ、色んな名曲に使われまくっているので、下手すると聞き覚えがある感じになるので注意。
④を使った曲
ドラクエ1「序曲」(あの有名なメインテーマ)、「街の人々」、「フィナーレ」(エンディング曲)
ドラクエ2「海原を行く」(海の曲)
ドラクエ3「ダンジョン」※恐怖心を出すように使っているので、この中では少し特殊。
ドラクエ4「王宮のメヌエット」※4度進行で半音ずつ低音を下げていくパターン。
ドラクエ5「街角のメロディ」(妖精の世界での曲)
ドラクエ7「哀しみを胸に」(全滅したときの曲)
ドラクエ8「広い世界へ」(フィールドの曲)
久石譲「HANA-BI」、「Orienral Wind」、「Cinema Nostalgia」
クロノトリガー「風の憧憬」(フィールド曲。サビの終わり部分)
↑解説用の曲(先に提示した楽譜の和音進行と全く同じ)
⑤おまけの超有名クリシェ「カノン進行」
半音ずつ変わっているわけではないのですが、クリシェの1種として、一つ超有名なものを紹介します。
これだとわからないかも知れないですね。実はこれは「カノン」の和音進行(コード進行)です。
低音(一番低い音)が半音もしくは全音でゆるやかに移動していっています。
クラシックのみならず、J-POPの名曲にもかなりの確立でこの進行は使われています。
カノンコードを使った名曲・ヒット曲
ドラクエ7「安らぎの地」、千と千尋の神隠し「あの夏へ」「いつも何度でも」
TOMORROW、それが大事、翼をください、少年時代、DANDAN心魅かれてく、負けないで、愛はかつ、空に唄えば、世界に一つだけの花、終わりなき旅、明日への扉、真夏の果実、さくらんぼ、ヘビーローテーション…
まだまだいくらでもあると思います。まあ、これはクリシェとは別物で考えてよいと思います。
まとめ
というわけで、実際の曲を聞かないとあまり良さがわからないと思うので、この解説はぜひ実際の曲を聴きながら見てほしいです。
なんにせよ、クリシェというのは様々な曲で使われていることがわかって頂けたかと思います。最後の「カノン進行」はそれ単体で記事が書けるレベルのもので、なおかつクリシェになってないケースも多いので、これはまた別物と考えておきましょう。
ただ、クリシェの技術を応用すると色々なことができる…とも言えます。
ヒット曲や名曲を聞く際には気を付けてみるとクリシェが見つかるかも知れませんよ。
最初は教科書的な初歩から学ぶのがお勧めです。
ツイッターでは作曲テクツイートもたまにしてます。ドラクエの曲にはクリシェがふんだん。
https://twitter.com/kaiten_momiziba/status/1087502624855707648