さてさてフランス諸国にお住みの皆さん方に置かれましてはとっくのとうに御存知のことでありましょうか、フランスの後に”諸国”とつけるのはおかしいとお思いでしょうか、そんなことには気付かず流れゆくままこの文章の行く先を見守っていただいているのでありましょうか。
そんなことは梅雨知らず、私はただただ「フランスパンはなぜ硬いのか」についてほどほどに語るのであります。ただただ語るのか、ほどほどに語るのか。そのどちらなのかそしてただただとほどほどにどれだけの差があるのかほどほどの差なのかなーんてことは捨て置きまして、ただただ私はこの文章を続けるばかりなのでありました。
はいはい、この記事ではもちろん「フランスパンはなぜ硬いのか」についてはたっぷり語らせていただこうとただいま強い決心を持ち合わせたまま書き連ねているわけですが、何を隠そう私はこの記事においてただただ「フランスパンはなぜ硬いのか」についての疑問をほどほどに書き連ねるだけのつもりでおりまして、それは果たしてどういう意味合いなのかと申しますれば、「フランスパンはなぜ硬いのか」の結論などには興味がなく、いや興味はあるのでありますがその核心には触れずに、「フランスパンはなぜ硬いのだろうかなあ」という想いをひたすら書くつもりなのであります。
フランスパンはなぜ硬いのか
なぜなのでしょうか?
治安の悪い地域において、ついに力も金もなき民衆たちが効率よく食糧保持と戦闘力強化を兼ねられるように開発されたのがフランスパンであり、その硬き硬きパンによって人を殴り、そして天下を取ろうとそういった歴史的背景があるのであればともかく、そんなわけもなさそうなこのパンがなぜ硬いのでありましょうか。
もしかすると古今東西人間につきものなあの”物忘れ”とやらが原因だなんてことは考えられませんでしょうか。ええ、とある建設現場にいた、とある物忘れの激しいとある大工がおりまして、そのとある大工、どうしたわけか肝心なものを忘れちまった。そう、トンカチもしくは金槌であります。む、そういえばトンカチと金槌って果たしてどう違うのか? まさか名前が違うだけなんてことはなかろう。何かしらの本質的違いがその呼び名の差となって表れたはずでありましょう。トンカチと金槌、金槌とトンカチ。卵が先か、鶏が先か。鶏が先か、卵が先か。叩いてトンとかカチとか鳴るのがトンカチでありましょうか。ん、待てよ、一体なぜ私はこんな話をしているのだっただろうか、と振り返ってみると私は物忘れをした大工の話をしていたのでありました。あら、やはりタイムマシーンがない以上、人類の時間軸においていま最新の状態を生きる現代の人間である私ですら物忘れをするということは、やはり物忘れと言うのは人類にとって太古から今まで変わらぬ現象なのでありましょう。
さて。
そんな大工が忘れたのはトンカチ、もしくは金槌なのであります。しかし大工、ふと左ポケットを見てみるとなんとあれが入っていることに気づいたではありませんか。パンですね。ええ、もちろんこの流れはパンです。
というわけで、すかさずas soon asやいなやそのパンが硬ければトンカチであり金槌であるあの工具の代わりになると大工は思いつくわけです。そうして生まれたのがフランスパンでありました、めでたしめでたし。
なんてことは絶対にあるはずがないというのはトンカチor金槌で叩かれる予定の釘の硬さをご存知なフランス諸国の方々ならすぐにわかることでしょう。ええ、あの釘とやらはフランスパンより硬い。つまり釘をフランスパンで叩けばフランスパンが負けるであろうと。
つまりこの「物忘れによってフランスパン硬いぞ説」は却下されるわけであります。
フランスパンはなぜ硬いのか
となるとなぜ「フランスパンは硬いのか」が分からなくなってきました。
ここで一つ疑念が頭をよぎるわけです。皆さんもよぎってますか? よぎりましょう。よぎるのです。よぎろう。よぎる。よぎれば。よぎれ。
はい、よぎりました。
これほどまでに硬いのではないかと私が一人孤独でありながら、多くの読者の皆さんと気持ちを共有できる可能性を持ちながらという、矛盾と捉えることも頑張ればできるような状況下でさんざん語ってきたフランスパンですが、実はあれ。硬くないのではないでしょうか。
フランスパンが硬くないのであればフランスパンが硬い理由が見つかるはずもないわけで、そうなれば「フランスパンはなぜ硬いのか」という思うこと自体が無意味で極めて虚しく、そして虚しさを極めた事項であることとなるわけであります。そうなれば「フランスパンはなぜ硬いのか」についてこれ以上語る意味もまったくなくなってしまうのでありまして、それを理由としてこの何の意味もない文章をついに終わらせることができるわけでもあるのでございます。
硬くなかったフランスパン?
そんなわけで私はこれほどまでになぜ硬いんだろう、フランスパンは! と強く強く思ってきたこの数十分を黒歴史とし、この記事を終わりたい所存なのであります。
そして恐らくここまで読んでくださった読者の方がいるとするのであれば、「なんだそれ」「いや、フランスパン硬いやんけ」「なんで硬いねん、グーグルで検索してここ来たのに答えわからんやんけ、グーグルうざっ」とSEOに疑念を抱く可能性が多かれ少なかれあるわけであります。しかしそれでも私は「フランスパンはなぜ硬いのか」というこの議論を終わらせるべく、「フランスパンは決して硬くなかった」という既成事実を作り出そうと躍起になるのであります。
さてさて、しかし私はこの状況下でひとつまだ最後の疑問が頭に浮かぶのです。フランスパンは硬くなかった。だが、「もしフランスパンが硬いのだとしたらなぜ硬いのか」という疑問に対して、私は答えを知らずにはいられないのです。
私はその究極の疑問に、恐らくこれが理由なのではないかというものを見つけることができた。人生経験から導き出した解である。「決して硬くなかったフランスパンだが、もしフランスパンが硬いのだとしたらなぜ硬いのかについては、通常パンを柔らかくするために使用される卵や乳製品、油、そして砂糖などが使われていないから硬いのに違いないだろう」と。
しかし、実際にはフランスパンは硬くないのであり、そして硬くないからこそ私が記事前半で考え出した様々な「フランスパンが硬い理由」があり得ないという結論に終わってしまったのでもあります。よって、通常パンを柔らかくするために使用される卵や乳製品、油、そして砂糖などが使われていないからフランスパンが硬いのだなどとというのは単なる私の妄想に過ぎないのであります。
さて、フランス諸国の皆様方。フランスパンが硬くなかったことを知って驚きのところと思いますが、フランスパンが硬い理由がわからないというのはフランスパンが硬くない証拠というのは既知の事実。芸術国家でものわかりのいいフランス文化であればそれくらいは容易に受け入れられましょう。
そんなこんなでここまであまりにも何の進展もない文章を書き続けた私は空腹というものを覚え始めてしまったのでそろそろ本当にこの記事を終わりたいと思うのであります。いやいや、ちょうど私の左ポケットにね、いい感じのパンがあるわけですよ。何でしょうね、このパン。棒状のこのパン。なんか、長いけど、持ちごたえはあるけど見た目的には口にしたらいかにも柔らかそうで美味しそう。果たしてどんなくちどけ感を演出してくれるのかなあ、このパンは。この、細長いパン。さあて美味しく食べるとするかな。
ガリッ
かてー