人生はRPG。
これはドラクエの生みの親であり、「へんじがないただのしかばねのようだ」の生みの親でもある堀井雄二の言葉。
そして、RPGにつきものなのが、その世界を彩る様々な魔法です。そんな魔法があふれる世界の主人公をプレイヤーとして演じる…それが広めの意味でのRPGでもあるわけですね。
というわけで、ここではそんな色々なRPGに登場する様々な魔法をまとめて、その名前から特徴や世界観、ネーミングの仕組みなんかを考察することにしました。
各RPGの特徴をつかむためだったり、ただの興味だったり、RPGツクールで魔法の名前をネーミングするときの参考にしたり…と、用途は色々あると思いますが、とにかくやってみました。結構各ゲームの色が表れてて面白いですよ。
有名RPGの魔法・呪文の名前をまとめて比較。意味や由来・特徴は?
ここでまとめるのは私が最も好きなゲームであるドラクエのほか、FF(ファイナルファンタジー)、クロノトリガー、女神転生、MOTHER、ウィザードリイ、グランディアです。
それぞれの魔法を炎系、氷系、回復系などに分類して整理・比較しました。(ドラクエが一番詳しいので長めになるかもですがご愛敬。)
…ちなみに、ドラクエやウィザードリイもそうですが、魔法ではなく呪文という表記のRPGも結構あります。名前の付け方に呪文のような法則がある程度読み取れることからも、「確かに呪文だな」という納得感があったりします。
その辺りは後でまとめるとして、下記の代表的な系統ごとの魔法(呪文)を整理し、比較していきます。
- 炎系の魔法
- 風系の魔法
- 氷系の魔法
- 雷系の魔法
- その他爆発・無属性系の魔法
- 回復系の魔法
- 状態異常回復系の魔法
- 蘇生系の魔法
※同じゲーム内でもナンバリングタイトルで効果や範囲が変わることも多々あるのですが、標準的と思われるものにしています。
比較しつつ、語源や特徴の解説をし、最後にまとめてます。
素人が作る魔法のネーミングの参考に…ということで、おまけで私がRPGツクールで作っていた未完成RPGの魔法も載せてしまいます。
炎系の魔法
ドラクエ
- メラ
- メラミ
- メラゾーマ
- メラガイアー
敵単体への攻撃呪文。俗に言うメラ系。語源は恐らく、メラメラと燃えるからだと思われる。
- ギラ
- ベギラマ
- ベギラゴン
- ギラグレイド
もう一つドラクエより、いわゆるギラ系。炎ではなく稲妻の呪文と説明されてたり、閃光だと説明されてたりと、結構不安定な呪文。最近はアニメーション上は炎なので炎系に分類した。”ベ”や”マ”で上位呪文を表す手法は、回復呪文にも通じている(ホイミ、ベホイミ、ベホマ)。
語源は恐らく、ギラギラする、もしくはギラッとするから。メラ・ギラ共に擬音語が関係していることがわかる。
ちなみに、ドラクエでは基本的に5文字の呪文が二番目に強い。そしてドラクエ8までの最上位呪文はその5文字の呪文なのである。メラガイアーやギラグレイドというのはかなり最近誕生した呪文なのだ。
FF
- ファイア
- ファイラ
- ファイガ
- ファイジャ
- アーダー
ドラクエが擬音語メインなのに対して、FFは完全に英語が語源ですね。通常→ラ→ガ→ジャと語尾の差で強さが変わるというルールが見えてくる。アーダーも、”情熱”を意味する英語から。
クロノトリガー
- ファイア
- ファイガ
- フレア
クロノトリガーはドラクエとFFが融合!みたいな感じがあるので、魔法もFFからの引用が多く見受けられる。というわけで、語源は英語&FFの魔法…というのが身もふたもないが真実である。フレアはFFでは炎ではないので、少し違いがある。
魔法の強化を”ガ”で表すのはFF譲り。
女神転生
- アギ
- アギラオ
- マハ・ラギ
- マハ・ラギオン
- マハ・ラギダイン
ドラクエ的な響き。だが、語源が擬音ではないため、名前から効果を推測することは難しいネーミングといえる。”ラ”、”マハ”、”オン”、”ダイン”で魔法の強化を表現。ちょっとドラクエに近い響き。
調べてみると、アギはアグニ神(インド神話の火神)から来ているという説があった。アグニ神を知っている人は少ないだろうが、ゲームの世界観的には合っている名前だ。
そして、”マハ”や”ダイン”はサンスクリット語からということで、ネーミングに世界観に絡む宗教・哲学的なものを混ぜ込んできているといえる。結構かっこいい響きだ。
MOTHER
- PKファイアーα
- PKファイアーβ
- PKファイアーγ
- PKファイアーΩ
お次はMOTHER。独特なほのぼのとも、ダークとも、シュールともいえる世界観のRPG。魔法というか、PSIなのだが、非常に体系的になっている。語源はどう見ても英語、アルファベットで強さを表す、というもの。
スマブラで聞いたことがある人も多いことだろう。64のネスは強かった!
ウィザードリィ
- ハリト
- マハリト
- ラハリト
また意味不明系の呪文か! と思うかもしれない。だが、実はウィザードリィの呪文は結構厳格なルールにのっとって名付けられている。トゥルーワード(真言葉)という、独自の言語・ルールによってネーミングされているのだ。
ハリトも、「ハ(発する)リ(火)ト(嵐)」という三つの真言葉によって構成されている。これはFC時代に容量を節約するためだったらしいが、それが独自の世界観につながっていると言える。
ドラクエもウィザードリィの呪文の名付け方を参考にしていると思われるが、その辺ドラクエは擬音を入れて覚えやすくしており、「うまいなあ」という印象。
…というわけで、知らなきゃわからない独自の法則に厳格にのっとって呪文名が決まっているのがウィザードリィである。
その辺りを詳しく調べると…
ドラクエ初期の呪文命名規則は、Wizの呪文命名規則であるトゥルー・ワード制(以下「真言制」)にほぼ一致します。
例えば、Wizの氷系呪文は
●ダルト(一番弱い氷系呪文)
●マダルト(そこそこ強い氷系呪文)
●ラダルト(一番強い氷系呪文)の順に強くなります。
「ダルト(氷の嵐)」という真言を基本に、
「マ(広い)」の真言で強化、
「ラ(大きい)」の真言で更に強化、
といった具合です。Wizの呪文は意味を持った真言を組み合わせ、発声することによって発動するわけです。ルールに沿わない呪文名は、wizには一つもありません。
というような解説サイトが色々とヒットするので、見てみると面白い。ゲームなのに考古学かなんかのようだ。
グランディア
- ヴァーン
- マジカルアート
- ヴァンフレイム
- ヴァンストライク
- ヴァンフレア
- ヘルヴァーナ
”ヴァン”、”ヴァ”がキーワードといえる。恐らく、燃えるの英語、burn(バーン)が語源だろう。
クリースファンタジー(自作RPG)
- フレア
- フレイアム
- フレイデッド
見ればわかる通り、英語が語源。自作RPGでひねり過ぎると覚えづらくてやってもらえない可能性があるので、オリジナリティとわかりやすさのバランスが大事と思う。
風系の魔法
ドラクエ
- バギ
- バギマ
- バギクロス
- バギムーチョ
バギムーチョが最上位呪文のくせに名前がダサくて不評。竜巻を巻き起こす魔法。クロスは英語(アニメーションでも竜巻がクロスすることが多い)でムーチョはスペイン語。
語源は竜巻でバギッとものをぶっ壊すイメージからかな、と思うが、バキューム(真空)からという説も。
FF
- エアロ
- エアロラ
- エアロガ
- エアロジャ
- トルネド
炎と同じく、FFはやはり明らかに英語が語源。エア(空気)からと推測できる。強さの変化も、炎同様に通常→ラ→ガ→ジャとなっている。
クロノトリガー
該当なし
クロノトリガーは魔法が少ないので、該当なしでした。
女神転生
- ガル
- ガルーラ
- ガルダイン
「衝撃」という系統はあったのだが、風はなかった。意外と「風」ってニッチな属性なのだろうか。
…とか記事公開当初は書いていたのですが、コメント欄で指摘を受け、ガル系の存在に気づきました。竜巻やかまいたちで攻撃する疾風魔法のようです。ガルーラというとメガシンカで覚醒したあのポケモンを思い出します。
MOTHER
該当なし
こちらもなし。うーん、これは意外。確かにポケモンでも、「飛行」タイプはあっても「風」タイプはないし、案外省かれやすいのかも。
ウィザードリィ
- バリコ
- マバリコ
- ロルト
これ以降の呪文もすべてそうだが、語源はトゥルーワード。つまり、現実世界の言葉とは繋がらないので、実質由来はないようなものだ。
しかし、同じ風でもバリコとロルトがあり、ロルトには強化系がないというのも面白い。
グランディア
- ヒューイ
- ヒュースラッシュ
- ヒューンネル
ヒューは風がヒューヒュー吹くからだろう。スラッシュは風の刃的なイメージで、ネルはトルネードから派生したのではないかと思う。魔法の説明欄に「全てを巻き込み」とあるので間違いないと思う。
クリースファンタジー(自作RPG)
- トルネ
- トルナード
由来はトルネードから。まあ、わかりやすい。
氷系の魔法
ドラクエ
- ヒャド
- ヒャダルコ
- ヒャダイン
- マヒャド
- マヒャデドス
ヒャドは敵単体、ヒャダルコはグループ、ヒャダインは全体、マヒャドはシリーズによる。ヒャド系はヒャダインの存在が特殊で、3と4にだけ登場し、その後姿を消している。そのせいか、二番目に強い呪文が5文字ではないレアな系統。
語源は恐らく、ヒヤッ(冷やっ)とするからだろう。ただ、東北地方などで「寒い」を意味する方言「ひゃだるっこい」から来ているとする説も。呪文の名前が結構自由な部類。
FF
- ブリザド
- ブリザラ
- ブリザガ
- ブリザジャ
- フリーズ
語源はやはり英語。強さの変化も、通常→ラ→ガ→ジャで変わらず。明解な決まりだ。
クロノトリガー
- アイス
- アイスガ
同じ英語でもブリザードではなく、アイスが語源なのが、FFとの違い。
女神転生
- ブフ
- ブフーラ
- マハ・ブフ
- マハ・ブフーラ
- マハ・ブフダイン
相変わらず氷っぽさがない名前。由来はポポロブフから…という説があったが、ポポロブフで調べてもよくわからなかった。謎。
上位の魔法に”ラ”や”マハ”が付くのは炎の魔法と共通事項。
MOTHER
- PKフリーズα
- PKフリーズβ
- PKフリーズγ
- PKフリーズΩ
PKファイアーと同じなので説明は省略。
ウィザードリィ
- ダルト
- マダルト
- ラダルト
もちろん、語源はトゥルーワード。響きからは氷の想像はできない。
グランディア
- シャキア
- シャキード
シャキーン!という氷柱のイメージかな、という気がする。その他、氷属性の能力ダウン魔法で「ピキン」や「コルデ」があった。ドラクエに近いタイプのネーミングセンスである。
クリースファンタジー(自作RPG)
- フリズ
- フリーゼズ
- グレイシャル
- グラッシャネル
英語が語源だが、途中で元の単語が変わる例。glacialは「氷河の」「氷河時代」などの意。
上位魔法を示す特定の法則はなく、響き重視になっている。
雷系の魔法
ドラクエ
- デイン
- ライデイン
- ギガデイン
- ミナデイン
ギラと同様に設定が不安定な魔法。今ではすっかり雷の魔法だが、初出時はギラが雷の設定だったため、「唱えた者の手の平から、高電圧のかかった細い糸が無数に出て、相手に絡みつく」という謎の魔法だった。
語源は雷電か、勇者ライディーンと思われる。なにせ、基本的にはこれらは勇者専用の魔法なのだ。ミナデインの”ミナ”は、”皆”から来ている。全員のMPを消費するのだ。ドラクエは擬音、英語、スペイン語、日本語となんでも混ぜてくる傾向がある。語感を重視している感じはする。
FF
- サンダー
- サンダラ
- サンダガ
- サンダジャ
- バースト
英語が語源。強さの変化も法則通り。FFの魔法はわかりやす過ぎて、あまり書くことがない。
クロノトリガー
- サンダー
- サンダガ
FF同様、英語が語源。というかFFの魔法そのまんま引用。
女神転生
- ジオ
- ジオンガ
- ジオダイン
語源は不明だが、ジオがなんとなく電撃を感じさせる。魔法の強化は”ガ”が付くところは少しFFを感じる。
MOTHER
- PKサンダーα
- PKサンダーβ
- PKサンダーγ
- PKサンダーΩ
説明省略。
ウィザードリィ
- モリト
- マモリト
- ツザリク
- ラザリク
火花という説明が多いが、稲妻とする説明も見つかったので、ここに分類。やっぱり語源はトゥルーワード。
FC版に存在したツザリクが消されて、GB版ではマモリトが追加されたりもしているらしい。モリト系が稲妻、ツザリク系を神罰と呼んだりもする様子。
グランディア
- ライガ
- ライデン
- デンライ
- リュウライ
ドラクエに似ているが、雷電が語源だろう。リュウライは「龍のごとき稲妻」らしい。日本語が語源な例。
クリースファンタジー(自作RPG)
- ライデ
- ライデス
- ライディガス
- ラークライデス
雷系はやっぱりライデインに引っ張られる。雷電が語源。そして、ラークライデスは強そうにも聞こえるが、「落雷です」というダジャレのようなもの。こういうふざけ方もドラクエの影響が垣間見える。
その他爆発・無属性系の魔法
ドラクエ
- イオ
- イオラ
- イオナズン
- イオグランデ
全体攻撃の爆発魔法。語源はイオナイズ(ionize)だと思うが、自信が薄い。意味は、”電離する”なので、化学反応で爆発を引き起こすようなイメージか。魔法の話なのに化学の話になってしまった。
初出はドラクエ2で、そのときはイオナズンしかなかった。
FF
- フレア
- アルテマ
- メテオ
完全な英語です。無属性は特殊なポジションなのか、ラ→ガ→ジャのような法則もなし。
女神転生
- メギド
- メギドラ
- メギドラオン
- メギドラダイン
語源は不明だったのですが、この記事のコメント欄にて「旧約聖書のメギドの火では」との有力情報をいただきました。たしかにそれっぽいですね。
また、”ラ”、”オン”、”ダイン”で強くなっていくのは共通。
MOTHER
- PKスターストームα
- PKスターストームΩ
特殊な属性や無属性系は魔法のパターンが少ないのが通例。
ウィザードリィ
- ティルトウェイト
色々とほかにも謎の属性の攻撃呪文はあったのだが、これは爆発っぽいのでここに分類。核融合で無属性のダメージを与える。語源は英語っぽく思えるが、トゥルーワードが語源。
TIL(速やかな) TO(風・嵐) WA(光・解く・退ける) IT(解放・切り離す)
と分解できるらしい。複雑だ。とりあえず最強呪文の様子。強い呪文は名前が長めになるものだ。
グランディア
- ズンガ
- ズンデオ
- デズン
ズン!という衝撃からだろう。最上位魔法の文字数が短いのはドラクエで言うとマヒャドを思い出す(ドラクエ9からはマヒャデドスが最上位だが)。
クリースファンタジー(自作RPG)
- ヴァーク
- ヴァーク・ハーツ
ヴァークだけだと英語? スペイン語? ギリシャ語? みたくなるが、ヴァーク・ハーツで完全にダジャレだとわかる。「爆発」が語源。
回復系の魔法
ドラクエ
- ホイミ
- ベホイミ
- ベホマ
- ベホマラー(全体回復)
- ベホマズン(全体回復)
ホイミの語源は複数あるが、「ホイっと身を助ける」や「休み」をばらしたとか色々説があったが、NHK放送のドラクエ11特番の中で真の由来が明かされた。「ホイミは「身をまもる」「保身」などからイメージで」名付けたらしい…。
また、ベギラマのときのように、”ベ”と”マ”で強化感を演出していることがわかる。また、伸ばす棒や、イオナズンにも使われている”ズン”で全体回復感を出している。
FF
- ケアル
- ケアルラ
- ケアルダ
- ケアルガ
語源はやはり英語のcure(癒す、治す)だが、強化の語尾に若干の変化がみられる。回復魔法はFFでは基本的に”白魔法”という分類の仕方をされる。
それが関係するのかはわからないが、とにかく回復魔法は通常→ラ→ダ→ガ、になっているようだ。
クロノトリガー
- ケアル
- ケアルガ
FF同様。
女神転生
- ディア
- ディアラマ
- ディアラハン
- メ・ディア(全体回復)
- メ・ディアラハン(全体回復)
語源は不明。”メ”が付くと全体になる模様。
MOTHER
- ライフアップα
- ライフアップβ
- ライフアップγ
- ライフアップΩ(全体回復)
わかりやす過ぎる名前(最大HPが増えそうなネーミングではあるが)。
ウィザードリィ
- ディオス
- ディアル
- ディアルマ
- マディアル(全体回復)
語源や由来は不明だが、”ディ”が回復・治療にかかわるものだ、ということは読み取れる。女神転生はもしかしたらここに影響を受けているかも知れない。
ちなみに、バディオスは呪いの言葉でダメージを与える呪文だというのが面白い。同じように、マバディは「敵単体のHPを1~8まで減らす」呪文。この世界では、”バ”は回復を呪いに変えるような言葉なのだろう。
グランディア
- ケロマ
- ケロマム
- ミケロマ(全体回復)
- ミケロマム(全体回復)
- ミケロマキシム(全体回復)
回復魔法だが水属性扱いのようなので、おそらくカエルの鳴き声から来ているのではないだろうか。”ミ”が”みんな”を意味する?のか分からないが、全体魔法の意味のようだ。
この辺りは英語が語源の炎魔法と比べると、大分オリジナルなネーミングになっている、。マキシムは英語だが。
クリースファンタジー(自作RPG)
- リフレ
- リフレル
- リフアマ
- リフレアラー(全体回復)
- レストレイル(全体回復)
また語源が急に変わるパターンだが、基本はリフレッシュが語源。「ラー」で全体回復になるのは、完全にベホマラーの影響。逆にそれを利用してわかりやすさを出している、というせせこましい手法。リフアマもベホマの影響あり。
フレア→フレイアム、フリズ→フリーゼズ、リフレ→リフレルのように、元の単語に含まれる行の文字を1文字足して強化感を出す…というのが自分のやっているゆるい法則と言えそう。
状態異常回復系の魔法
ドラクエ
- キアリー(毒を解除)
- キアラル(混乱を解除)
- キアリク(麻痺を解除)
- ザメハ(眠り状態を解除)
- シャナク(呪いを解除)
ここにきてドラクエで英語が語源なものが出てきた。キア〇〇系はキュア(癒す、治す)が語源だろう。逆に、ザメハは目覚めるが関係してそうだ。
キアリクの”リク”はザオリクの”リク”から来ていると思われる。ザオリクは死亡から復活させるが、キアリクは麻痺から復活。過去のドラクエでは全員が麻痺しても全滅扱いだったため、似た要素が見受けられる。そもそも”リク”ってなんだよ、と言われると困ってしまう。ああ、困った。
FF
- ブラナ(暗闇状態を解除)
- ポイゾナ(毒を解除)
- エスナ(状態異常を解除)
- エスナガ(全体の状態異常を解除)
ここにきてFFも英語と日本語の融合の可能性が現れた。ブラナ=ブラインドを治す、ポイゾナ=ポイズン治すと思われる。エスナはわからなくて調べたところ、「永久」に「ステータス」を「治す」の頭文字を取ったものという説が有力らしい。
参考:魔法/【エスナ】
クロノトリガー
該当なし
そういう魔法がなかった。
女神転生
- ポスムディ(毒を解除)
- パァスディ(混乱・HAPPY・眠り状態を解除)
- パララディ(麻痺を解除)
- パトラ(状態異常を解除)
- メ・パトラ(全体の状態異常を解除)
この辺りは語源が英語と推測できるものもある。ポイズン、パラライズなどはそうだろう。パトラはもしかするとクレオパトラからなのかも知れない。
”メ”が付くとやはり全体になるのはわかりやすい仕組み。そしてやはり”ディ”は回復系につきものの様子。
MOTHER
- ヒーリングα(「風邪」「日射病」「眠り」を解除)
- ヒーリングβ(上記+「毒」「気持ち悪い」「変」「涙が止まらない」を解除)
- ヒーリングγ(上記+「ダイヤ」「痺れ」「気絶」を解除)
- ヒーリングΩ(上記+「気絶」をHP全快で復活)
状態異常回復を攻撃系の魔法とまったく同じ体系で表現するのはレアな例。そして、ヒーリングΩは蘇生魔法も兼ねている。
ウィザードリィ
- ラツモフィス(毒を解除)
- ディアルコ(麻痺、眠り状態を解除)
- マディ(HPを全回復し、死・灰・ロスト状態以外を全て解除)
なんだかよくわからないが、”ディ”が回復・治療にかかわるものだ、ということは読み取れる。
グランディア
- キュール(毒を解除)
- ハルベール(状態異常を解除)
キュールはcure(ケア)が語源だろう。ハルベールはわからないが、似た英語があるのだろうか?
クリースファンタジー(自作RPG)
- キューア(毒を解除)
- キュアーズ(麻痺、混乱、眠り状態を解除)
- キュアラズ(状態異常を解除)
これも由来はcure。当初ひねろうと思っていたが、わかりづらいし状態異常の数も多いので無難なものにした。
蘇生系の魔法
ドラクエ
- ザオ(低確率でHP1で蘇生)
- ザオラル(半分の確率でHP半分で蘇生)
- ザオリク(完全蘇生)
- ザオリーマ(全体蘇生)
- リザオラル(死亡時、自動で復活)
ザオ〇〇系はわかりにくいが、英語で復活を意味するリザレクション(Resurrection)が関係している気がする。なので、英語が語源の可能性が高い。ザオリーマはベホマラーのように、伸ばす棒で全体効果感を出し、”マ”で強力な呪文感を出している。
リザオラルの”リ”は英語で「再び~する」という単語によく付く”Re”から来ていると予想できる…が、このアイディアに関してはFFのリレイズの方が先だ。
FF
- レイズ(蘇生)
- アレイズ(完全蘇生)
- リレイズ(戦闘不能時、自動で復活)
Raise Deadで「死者蘇生」を意味するところから、語源は英語だろう。そして、ドラクエの項目で触れたリレイズである。
クロノトリガー
- レイズ(蘇生)
- アレイズ(完全蘇生)
FFと同じ。
女神転生
- リカーム(蘇生)
- サマリカーム(完全蘇生)
由来は不明だが、ファンブックに由来が載っていたという情報も見かけた。真相は謎。
また、”サマ”という新しい接頭語が登場。回復魔法と攻撃魔法はやはり少しネーミングの法則が違うものなのだろうか。
MOTHER
- ヒーリングγ(上記+「ダイヤ」「痺れ」「気絶」を解除)
- ヒーリングΩ(上記+「気絶」をHP全快で復活)
状態異常回復魔法と同じ系統。
ウィザードリィ
- ディ(死者をHP1で蘇生させるが、失敗すると灰化してしまう)
回復を意味していそうな”ディ”単体の呪文が蘇生呪文…というのが粋だ。
グランディア
- ヨミ
蘇る(よみがえる)から取っているに違いない。
クリースファンタジー(自作RPG)
- レイズ(蘇生)
- ラーレイズ(完全蘇生)
語源はFFと同じ。ちなみに、回復系はラ行を多めに付けている。響きがなんとなく神聖なので。
関係ないが、私が気に入っている自分で考えた魔法の名前としては、魔法を封じる魔法である「マシール」がある。これは魔法の”マ”+封印の英語である”シール”である。なんとなく効果がイメージできる上に響きもいいかなと思っている。
各ゲームの魔法(呪文)の特徴・仕組みの考察
以上を踏まえて、各ゲームの魔法の特徴や仕組みについてまとめます。魔法のネーミングにはいくつかのタイプがあると言えそうです。
1、現実にある言語(主に英語)が語源
FFやクロノトリガー、MOTHERは完全にこれです。現実世界から名前を借りるわけです。
ファイア、サンダー、PKストーム…
どう考えても英語が語源ですね。覚えやすいしわかりやすいです。MOTHERのはかなりシステマチックで淡泊にも思えますが、魔法ではなくてPSI(サイ:超能力)なのでなんだか似合ってます。
女神転生の場合は、英語ではなくサンスクリット語を参照することで、宗教的な空気感を出すのに成功しています。…ですが、女神転生の場合は属性の部分ではなく、強化や派生の部分にサンスクリット語を用いているので、オリジナリティが高めな代わりにわかりやすさは薄いです。
また、ドラクエの「ミナデイン」のように、日本語から取ることもありますが、これは後述の4番に近い気がします。
メリット:覚えやすい、わかりやすい、体系的にできる
デメリット:オリジナリティが薄い
2、独自のルール
ある言葉に”強化”だとか”回復”だとかの意味を持たせてネーミングする方法です。世界観を強く出せます。
ウィザードリィはこれを徹底したパターン。女神転生も結構これ。ドラクエはある程度のっとっているが、響きや覚えやすさを優先させてます。
ウィザードリィ:ハリト、マハリト、ラハリト
女神転生:アギ、アギラオ、マハ・ラギ、マハ・ラギオン、マハ・ラギダイン
ドラクエ:ギラ、ベギラマ、ベギラゴン、ギラグレイド
FFは1と2を組み合わせてますね。「ファイア、ファイラ、ファイガ、ファイジャ」といった具合に。
ドラクエはメガが付くと自己犠牲(メガンテ、メガザル)、マが付くと強化(ベギラマ、ベホマ、マヒャドなど)…など、ゆるい決まりがあるタイプです。
メリット:オリジナリティがある、自由にかっこいい響きにできる
デメリット:覚えづらい、効果がわかりにくい
・参考になるサイト:
3、擬音を用いる
ドラクエはこれが多いですね。
メラ、ギラ、ヒャド、バギ
攻撃系は基本的にこのタイプです。これにより、独自の言葉でありながら覚えやすくなっているのがうまい。さすが。
グランディアもこのタイプが多い。
風:ヒューイ
氷:ピキン
爆裂:ズンガ
愛嬌があります。しかし、海外版などが出たときにうまく翻訳できず、世界観の一部を損なってしまう可能性があるのが難しいところ。
メリット:オリジナリティがある、わかりやすい、親しみやすい
デメリット:センスが問われる(主観)、翻訳しづらい
4、ダジャレや、その魔法をイメージできる言葉の変形タイプ
ダジャレや、その魔法を想起させる文章などを、魔法風の響きにうまいこと変えたタイプ。ドラクエはこれが多い。上では紹介できていないものの、補助呪文に特に多いです。やっぱり覚えやすいし、なじみやすい。
ホイミ(ホイっと身を助ける)
トラマナ(トラップを踏まない)
マホカンタ(魔法カウンター)
アバカム(あ、ばか~ん)←扉を開ける呪文。扉を開けたら着替え中でこれを言われる的なことらしい。
※諸説あったりするので注意。
ドラクエは結構なめたノリの由来多くて面白い。
ほか、3番同様にグランディアにもダジャレっぽいものはあります。
水:ケロマ
氷:コルデ
ケロマは多分カエルの鳴き声で、コルデは「凍るで」か「コールド」かといったところでしょう。後者だったら英語が語源になっちゃうけど。
メリット:覚えやすい、由来を知ったときに「へ~」ってなる、親しみやすい
デメリット:一歩間違えるとダサい
まとめ
魔法の名前に利便性を取るか、独自性を取るか、中間を取るか…そのRPGの色が意外と濃く出るのが魔法の名前だと言えそうです。
なかなかにヘビーな量になってしまいましたが、RPGの世界を覗けた気がして面白いものです。
何の参考になるかはわかりませんが、たまにはこんなのもいいですよねってことで。リレミトします。
ネーミングの参考になる本を買うのも一つの手。
ドラクエ好きならこんな記事もお勧め。
短文強烈堀井節!ドラクエシリーズの全名言を楽しめる「ただのしかばね」のような記事
歴代ドラクエを最大熱量で名作ランキング付け!そして思い出補正へ…
RPGを作りたい人ならこの記事が役に立つはず。