自主制作映画撮ってますか?
恐らく日本の人口の1%以下しか撮っていないんじゃないかと思いますが、この記事を見ている中では25%くらいが撮ってるんじゃないかと思います。
その人たちに向けてブログをやっていると思うとニッチ過ぎて泣けてきます…が、ニッチなものをやるとなんだか燃える気もするのでそれはよしとします。
さて、そんなニッチな自主制作映画(インデーズムービーだとか、インディーフィルムだとか呼び名も色々)ですが、ニッチなのにはそれなりに理由があります。そもそも撮ろうと思いつくことすらない人が大半とは思いますが、思い立っても完成するまでに障害がありすぎます!
撮ろうと思ったけどめんどくなってやめたとか、途中で挫折したなんてケースは世に山ほどあると思われます。邪魔ものだらけなのです。
というわけで、今回は「自主制作映画における9個の障害と、その対策法」についてご紹介しようと思います。撮ってる人はこれを参考にし、撮ってない人は異世界を覗く気持ちでご覧ください。
1.脚本が作れない
根本的なところですね。ここはさらっといきます。
とにかく、「映画撮ってみてえな~うぇ~い」とか思ったとしても、適当な構想は浮かびこそすれ、ちゃんと脚本にするのはやっぱり難しい…というか時間もかかるし大変だしめんどいです。めんどいと思わずに楽しめないとここで早速挫折してしまいます。
ここで挫折した人は試合開始前に、会場に向かう電車の途中で引き返したようなものです。映画撮影開始という会場はけっこう遠いのです。仕方ありません。
★対策法
書くのが好きな友人を見つけるか、短くて超適当なものを書きましょう。
裏技としては、原作ものをやる手もあります。
2.人が集まらない
これも試合開始前の段階ですね。でも、これもけっこう大変です。
せっかく脚本を書いても役者もカメラマンもいなければどうしようもありません。
自主制作映画なんぞの協力者はなかなか現れません。ノリがいい友達が多いとすぐ集まったりもしますが、撮影回数が重なるにつれなんかめんどくさがられたりもします。
更に言うと、協力者が募れても、予定を合わせるのがまた面倒です。
★対策法
登場人物の少ない脚本を書く。
カメラマンなしで三脚でやる。編集を工夫して色々ごまかす。
3.ロケ地が見つからない
これは試合会場の最寄まで着いたけど迷ってるような感じですかね。
脚本も決まって人も集められたけど、撮る場所がないパターンです。
撮って良い場所を見つけるのが大変なのもあれば、雰囲気に合う場所を探すのが大変なのもあります。
屋外だと、長時間撮るのは特に難しいです。
★対策法
部屋の中で終わる話にして自分の部屋で撮る。
公園で撮れる話にすればどうにかなる。
登場人物が空間移動できる能力を持つことにして、注意されたら空間移動させてごまかす。(実際にやったら演出的に高評価でした)
4.機材がない
テニスの試合会場に着いたと思ったらテニスラケットないわ、みたいな状況です。
さっさと買いましょう。
もしくは借りましょう。私は90分の大作自主映画を撮ったときは、ビデオは借り物でした…(ビデオの持ち主も映画に出演してます。)
でも、基本は買いましょう。
最初っから機材にこだわっても微妙なので、価格ドットコムとかで買ってもいいと思います。
★対策法
さっさと買う。
知り合いに借りる。
5.天気に恵まれない
これはほぼ運です。道具も人も作戦も完璧にして試合会場に向かったら、大雨で中止…なんてこともあり得ます。
「梅雨の時期に雨の話を撮る」とかすれば多少はコントロールできますが、基本は運ですね。
役者とスタッフの予定を合わせるのも態へなので、天気が悪かったら日程変えるというのも避けたいところです。
私は雨で中止は一回だけで、撮影日はほぼ晴れでした。(ギリギリ撮れるレベルの小雨は一回ありましたが。)
遠出して撮影とかもあったので、雨降ったらおしまいなときもありましたが、無事晴れました。
でも運が良かっただけなので、特に「こうしたら晴れる」なんてアイディアはできません…
★対策法
梅雨の時期に雨の話を撮る。
天気予報を見てから撮影日を決める。
運を良くする。
室内の撮影を多くする。
6.気温
これは天気に少し近いですが、運と言うよりは我慢するしかないケースが多いです。
「試合開始したら寒かった」からといってやめるわけにはいかないということです。
要は、夏なのにコートで撮らなきゃならないとか、冬なのに海に入らなくちゃいけない、とかそういうのです。撮影期間が長引くと、冬に撮り始めたからコート着てたのが夏でも着たまま撮影するはめに…とかが置きやすいです。
夏の撮影日に主役が「コートを脱げないなら撮りたくない」と言ってきたので、急遽「コートを脱ぐ」シーンを入れ込んだこともあります。(結果、そのシーンはうまくいきました。)
★対策法
撮影期間を短くする。
仕方ないので我慢する。
7.電池が切れる
ビデオの電池は撮影の命です。電池切れ=カメラマンの命を失うのと同じくらい致命的と捉えるべきです。
道徳的にはカメラマンの命の方が当然圧倒的に大切ですが、撮影不可という観点では電池切れは致命的というか死亡状態です。
「演技が思ったのと違うな…」とか、「この角度からも撮りたい!」とかやって同じカットを何テイクも撮ってると、電池切れは突如訪れます。
撮影熱心なのはすばらしいですが、現実的妥協もときには考えましょう。
あと、これは試合にたとえられませんでした。すんません。
★対策法
予備バッテリーを用意する。(これは必須)
絵コンテをしっかり書き、台本読みをしっかりやり、撮影がスムーズにいくようにする。
撮れなくなるくらいなら、たまには妥協して次のカットにいきましょう。
8.騒音
これは非常にストレスがたまります。試合会場で敵のヤジがうるさいようなものです。
場所によっては、周りが静かになるまで待ってからタイミングを見計らってワンカットワンカット撮らなきゃなりません。
なので、静かなところならすぐ撮り終わるはずものが、騒音のために撮影に倍以上時間がかかるなんてこともざらです。
特にゴミ回収業者やら、焼き芋屋やら、選挙カーなんぞがロケ地近くに停止した日には最悪です。
正直、去るのを待つ以外にどうしようもありません。
「たけや~さおだけ~」と大音量で鳴っていてはなんのドラマも進みません。これも天気の次に運が必要かもしれません。
★対策法
静かになるまで待つか、静かにしてくれるようダメもとで頼みましょう。(頼んだことはありません)
アフレコにする。(この対策のために、アフレコメインのストーリーにしたのが、この短編です。)
9.警備をする者たち
これは人間のシステムが生んだものです。けっこうどうしようもありません。
犯罪を抑制するために作られた警備員というシステムが、自主制作映画をも危険として取り締まるわけです。
そうです。「地獄に落ちろ、死ね!」「一筋縄でいくと思うなよ!」「人類は私が選び、私が減らす! ひゃーははは!!」とか言ってると警備されるわけですよ。
もしくは黙っててもビデオ持ってうろついてるだけで警備されるんですね。
私は撮っていいところで撮ってたけど注意された、みたいなことしかありませんが、場合によっては多分どっか連れてかれると思います。
ちゃんと許可をとっても警備されるときはあると思われるので、そういうときはシステムが現れたなあ、と思い、諦めて一旦退散するしかありません。
日本の治安をよくして警備員をなくすしか根本的解決はありません。
これで撮影が中断されると、試合で「うおー!!」とか叫んでシュートしたら警備員が現れて試合中止になるような気分になります。
★対策法
ちゃんと撮影許可を取る。それでも警備されたら、許可取ったことを説明しましょう。それでもダメだったらとりあえず退散して昼飯でも食いましょう。そしてその怒りを映画撮影の熱にぶつけましょう。
モンスター級のコミュ力で警備する者たちと仲良くなる。
治安をよくする。
まとめ
ざっとまとめてみましたが、正直細かいのを探せば障害はまだまだ山ほどあると思います。
それが自主制作映画なのです…。
逆にプロの映画ならではの、キャストを強要されるとか、脚本をねじまげられる、とかはないですね。
ただ、そもそも出てくれるであろう人からしかキャストは選べないし、現実的な脚本しか書きにくかったりで、その時点で制約はあるのかも知れません…。
ですが、そういう制限の中でいかに映画を撮るか、いかに壮大にするか、面白くするか、深くするか、といったところがまた面白いようにも思います。
皆さんもこれを見て、自主制作映画撮影を諦めるのではなく、むしろ果敢に挑戦していってもらえれば嬉しいです。