揚げ物以外では、ぶっちぎり断トツでタンメンが好きなモーミンパパです。
野菜不足をわかりやすく補えるからだろうといわれれば、反論はできません。トンカツについてくる千切りキャベツだけでは、ビタミン摂取量に不安は拭えませんから。
ラーメンではそうはいきません。薬味のネギとメンマだけで、野菜を食べたと大口は叩けません。どんな大口開けて食べたとしても。
とにかく、タンメンが大好きです。食べ歩いています。
一番遠くは、郡山まで足を運びました。基本的に西日本と北海道にはタンメンは存在しないので、これはかなりの遠征だと思います。
ちなみにタンメンは、関東を中心とした地方食であるという事実を私はつい最近まで知りませんでした。
テレビ番組で地方特有の変わった食文化を指摘された地元のひとが「ええっ」と驚くシーンを見かけますが、まさしくあんな感じでした。「タンメン、ないの!?」そんな日常、私には耐えられません。
おすすめのベストタンメン、西荻窪「はつね」
そんな私が、客観的に見て一番であり、基本中の基本でもあり、タンメンのおいしさを理解するためには必食であると120㏈の大声で断言できるのが西荻窪の「はつね」です。
タンメンといえば間違いなく名前が挙がる有名店であり、わすが六席のちいさな店の前には行列が絶えない人気店です。また私がこの半生で、もっともタンメンを食べた回数が多い店でもあります。
数年前のちょっとしたタンメンブームで、とんこつやらのこってり濃い味に一日分のどっさり野菜に太麺のタンメンも市民権を得ました。私はこれも否定しないどころか、好きです。
しかし、東京を中心として食べられていた本来のタンメンの定義は、以下ではないかと思っています。
1.鶏がら中心で取った塩味のスープ
2.野菜と少量の豚バラ肉片を炒めた上で、スープと一緒に煮込む
3.麺はその店のラーメンと同じものを使用
以上です。
野菜について、もう少し詳しく定義すると、キャベツ、白菜、もやしのどれかが主体で、他はニンジン、ニラ、タマネギ、キクラゲが入っていてもよい。
要するに、シンプルを旨としている。ここが大事です。
チャンポンとの境界線
ごてごてといろいろ具材が入ってくると、それはタンメンではなくチャンポンになってしまいます。本当はチャンポンは麺が別物なのですが、私にいわせればアサリが入っているようなものはメニューに「タンメン」とあってもチャンポンです。
ちなみに私はチャンポンも好きです。こちらは具材が多いほど嬉しいし、ナルトの細切りが入っているとにんまりしてしまいます。しかしタンメンにナルトがあったら、箸で摘まんで捨てるかもしれません。
いつものことですが、話が逸れました。
「はつね」のタンメン
「はつね」のタンメンは、シンプルを極めています。
野菜はキャベツともやしそれにほん気持ちばかりのニンジンのみ。豚肉はかけらも入っていません。
スープは澄んだ塩味。
麺は太くなく、細くなく。
ちゃっ、と手際よく中華鍋で野菜を炒め、すぐにスープを投入。茹で上がった麺が待つどんぶりに、お玉で野菜を押さえてまずはスープを注ぎ、上に野菜を載せて出来上がり。
狭い店なので、すべては目の前で展開されます。
淡い緑の滋味なる一杯です。
野菜を食べ、麺を食べ、スープを啜り、ああ、これぞタンメンの基本中の基本だと納得です。
日本料理的引き算の末の完成品です。
「はつね」のタンメンを食べておいしいと思わないひとは、タンメンには縁のないひとだと思います。あるいは、西日本か北海道出身で東京に馴染む気持ちのないひとだと思います。
チャーシュー入りタンメン
と、ここまでで十分素晴らしいのに、驚くのはこの店のタンメンには「チャーシュー入り」なるものが存在することです。べつに裏メニューではありません。壁のメニュー表にもちゃんと書かれています。
これがまた、おいしい。
引き算の完成品なのに、チャーシューという本来のタンメンにはあるべからざる具材を足しても崩れないのです。それもたっぷり6枚も。
穏やかな存在感、チャーシュー
チャーシューは一枚ずつべつの塊肉から切り分けられます。うちに二枚には隠し包丁が入れられます。一枚ずつ、部位が違うらしいのです。
どれも脂身の少ない昔かたぎな面構えのチャーシューですが、決してぱさぱさなどはしておらず、しっとりとして適度に醤油味がしみ込んでおいしい。塩味のスープともケンカのそぶりも見せず、野菜から主役の座を奪おうともせず、穏やかに存在感を醸し出すのです。
見た目はわりとチャーシュー一色になってしまいますが。
モーミンパパのまとめ
この店はもやしそばもおいしいし、注文ごとに餡を皮でくるむワンタンもおいしいです。試しにタンメンに入れてみたいくらいです。頼めば、やってくれるのでしょうか。まだ食べているひとを見たことはありませんが、合いそうな気はします。
しかし、タンメンです。
そして、タンメンです。
だから、タンメンです。
まずは、タンメンです。
タンメンに特別なおいしさを感じたことのないひとにこそ、またタンメンの存在すら知らずに育ってしまった不幸な西日本と北海道のみなさんにこそ、食べてもらいたいと切に願ってしまうモーミンパパなのでした。
↓私ではなく、このブログの管理人が食べたタンメン
↓タンメンではなくカツカレー
↓冬はタンメン、夏は…