隣の客はよく柿食う客だ。
隣の客はよく牡蠣食う客だ。
どちらが早口言葉としてより言いづらいか、何度も口にしてみたのに結論を出せないでいるモーミンパパです。
さて、柿を食べると鐘が鳴るようですが、牡蠣(以後カキ)フライを食べたくなるとお腹が鳴ります。
それが秋から冬にかけてというものです。
そこで出かけたのが大泉学園です。以前、「八」という店の麻婆豆腐を紹介したときに大泉学園のはずれを東京の端っこの端っこみたいに書きましたが、実は私のいるところがバス一本で行けてしまうのです。
ちなみに大泉学園に、大学はありません。誘致に失敗したけれど、駅名は学園をつけたままにしたようです。だから本来はただの「大泉」です。
本来はとんかつ屋? 大泉学園「地蔵」のカキフライ
「大泉学園」と「大泉」。どちらが聞こえがいいか。
なんだか学園がついているほうが、偏差値が5くらいアップした気になってしまいます。もしかしたら、地価もいくらかアップしているのかもしれません。人間のセンスとは愚かなもので、教育施設を連想させられると、勝手にブランドを感じてしまうんですね。
そんな大泉学園駅北口商店街の一角、住所でいうと東大泉1丁目に「地蔵」というとんかつ屋があります。
なぜ、地蔵?
知りません。が、他の飲食店に比べていろんな屋号の店があるとんかつ屋のなかでも、ちょっと異色です。
試しにとんかつ屋を思いつくまま書いていくと、
「あげづき」「成蔵」「ひなた」「とん太」「ポンチ軒」「燕楽」「丸五」「丸山吉平」「ぽん多」「のもと家」「やまいち」「大日本とんかつ大学」(閉店)「おさむ」「とんき」「あけぼの」「とん久」「井泉」「王ろじ」……
キリがないのでやめますが、とんかつだけに「とん」がつく店は多いしは、カタカナは「ポンチ軒」だけですが、あとはいろいろです。
たぶん、店の場所にお地蔵さんが祀られていたのでしょう。それとこの店は夜はお酒を呑みながら揚げ物をつつくこともできるので、居酒屋的な店名でもいいかと思ったのかもしれません。
カキフライもうまい
それで「地蔵」のカキフライなのですが、その前にこの店はとんかつ以下なにを食べても「中の上以上」のおいしさです。
近年、とんかつのレベル向上はめざましいものがあります。とはいえ、それはほぼ都心の店で起きていることです。山手線の外側をしばらく行くと、蒲田、大森方面以外どこもわざわざ足を運びたいとんかつ屋の数はぐんと減ります。
そんななか、地域に根差したとんかつ屋として「地蔵」は素晴らしいです。「地蔵学園」と呼びたいくらいのものです。
味だけでなく、サービスもよろしいです。接客は明るくはきはき大きな声だけど決してずけずけではなく、ごはんは白米と十六穀米を選べるし、ごはん、味噌汁、キャベツはおかわり自由です。キャベツはなるべく地元練馬の農家のものを使っているらしく、たまたま店に来ていた農家さんを紹介されたこともありました。
しかも中休みなしの営業です。午後3時過ぎの中途半端な時間においしいとんかつが食べられる店は、都心にもあまりありません。
それでやっとカキフライですが、ここのはデカイ。
大塚の「GOTOO」によれば、日本一は「岩手県広田湾」とのことですが、こちらは「広島県江田島」産です。蘊蓄は略しますが、とにかくデカイのです。大きければいいというものではありませんが、大きくてなおかつ美味いのです。
たまにカキを2個とかそれ以上くっつけて揚げて、大きく見せる店があります。それが悪いとはいいませんが、少し肩透かしを食った気持ちになることも確かです。肩透かしは食べてもお腹になりません。
一粒がデカイ!
ここのは、れっきとしたカキ一粒をひとつのフライとして揚げたものが、口をあんぐり開けて頬張る大きさなのです。
それが4個、どん、どん、どん、どん。
食べるごとに秋が深まっていきます。腹は収まっていきます。
でもキャベツをおかわりします。ついでに味噌汁もいただきます。ごはんは半分で、最初は十六穀米だったので、今度は白米で。
モーミンパパのひとこと
満腹です。しあわせです。外は冬の気配です。お地蔵さんがあったかどうかは知りませんが、思わず手を合わせたくなります。南無う~、ではなくて、ごちそうさまでした。
西武池袋線、大泉学園駅。大学はありませんが、大きくて美味しいカキフライがあります。
ほかにも色々食べてます。