映画撮影って大変だよね。
金はかかるし、役者のキャスティングやら脚本いじりたおすやら…とにかく無難に儲かる方法を模索してる感がすごいのが最近の日本の映画に思えますよね。
面白い映画とかじゃなくて、「手堅い映画」を目指してる感じがしませんか? 原作ものや、人気のある役者を使って番宣しまくるとか…
そんな話はさておき! プロの映画撮影も大変ですが、素人の趣味の映画撮影もこれまた大変です!
プロとは違う大変さが盛りだくさんなのでした。
今日は、友人であり作家兼元芸人?である三文享楽という人が監督の『一人の怒れる釣り人』という自主制作映画を撮ったときの大変なできごとをお伝えします。
素人が映画を撮ると大変やで~、というモノガタリ
大変といっても楽しいんだけど、やっぱり大変。そんな話をお送りするで!
1、予定を合わせるのがめんどい!
しょっぱなからやる気なくてごめんなさい。でも、やる気はあるんです。脚本やら撮影やら編集にはやる気満々なのです。でも、撮影日を決定するために役者の予定を合わせるのはめんどいのです!
役者と言っても基本は単なる友達ですから、映画撮影に参加したくてなおかつ土日のどちらかが暇な人を複数人集めなくてはならんのです。飲み会とか違って声かけられる人も限られてるので、撮影日が結構先になることもざらです。
『一人の怒れる釣り人』のときも本当は四人欲しかったのですが、結局三人しか集まらず、三人同時に映るカットは三脚に頼るしかありませんでした…無念!
2、当日本当に来るかが不安
いざ役者やスタッフを集めて撮影日を決定しても、当日本当にみんなが集まるか不安で仕方ありません! 遅刻・寝坊・ドタキャン…そんなことがあってもおかしくありません。だって素人だしギャラ払ってないし…
1000円あげるよ
とか言ってみると案外みんな「お金なんかいらないよ、同情をくれよ」と言ってくれるのですが、とにかくみんな素人ですから、撮影に対する責任感もそんなにないと思われるので私はいつも当日まで不安です。まあ、今までみんな必ず来てくれてるんですけどね…仕事で来れなくなったりも有り得なくはないですし心配なのです!
『一人の怒れる釣り人』の撮影時も、三人の内一人が車の渋滞で一時間以上遅刻しました。なんと、私も30分寝坊で遅刻しました。いやあ、みんな信用ならないですね! わっはっは!
3、セリフはきっと覚えてきてもらえない
みんな素人ですからね。脚本を当日まで知らないで撮影に来る人の方が多いです。主役級だと読んでくれますけどね、急に集めた人に「台本読みやってこいカボチャ役者め」とは言えないのでございます。
でもこれは逆に言えば、なんとなくしか内容知らずに来てくれる人がいる…ということですから、逆にありがたいとも言えますね。
『一人の怒れる釣り人』のときは、映画撮影に積極的な三人が集まったのでみんな脚本は事前に読んでいました。でも、セリフを完璧に覚えるまではやってなかったですね。まあ、それは練習で撮るレベルと割り切ってたからというのもありますけど。
4、衣装がイメージに合うかどうかは賭けなんじゃ
衣装専門の人がいるわけでもないので、当日みんなが揃うまでは、「本当にイメージに合った服装で来るかな…」という不安もあるのです。釣り人っぽい服装も監督の三文享楽が、家にある服から選んでそれっぽくしているだけです。
毎回服装は意外とイメージ通りになるのですが、基本的には各々の家にある服から選んでもらうしかないので、「赤はNG」「青っぽいので頼む」「短パンは若すぎるからダメ」「おしゃれ芸人風で」のようにザックリしか指定できないのです。
5、小道具揃えるの大変なんじゃ
釣り道具は監督が半分この撮影のために買ったようなものですし、バケツに至っては当日100円ショップで買ったものです。これは手を抜いてるだけとも言えますが、一回しか撮影で使わないものに大金は使えないし、小道具もどこで揃えばいいかわからなかったりするものも多いので、なかなか大変です。
6、ロケ地があるかは出たとこ勝負
事前に下見できる距離の時はするのですが、遠いところだと「なんとなくこういう空気のところがあるだろう」くらいの勘で当日を迎えることも多々あります。東京から那須まで泊りで撮影に行ったこともあるのですが、下見はお金かかるし時間もないしでしませんでした。結果、なんだかんだで偶然廃墟的ないい場所が見つかるなどの幸運と根性のおかげでいい結果に終わりました。
『一人の怒れる釣り人』では、「土手のある川沿いならどうにかなるだろう」という監督の気楽な考えのもと、45分くらい車で右往左往しました。それでも結果的にはいい場所が見つかったので、大抵はどうにかなります。もちろん、事前にネットなどであらゆる公園やスタジオを調べ上げ、グーグルストリートビューで土手を見まくったり、ロケ地検索サイトを利用して探しますが、「当日そこにほかの人がいないか」などの要素も含め、けっこう出たとこ勝負になってしまうのです。
ただ、これはしっかりお金を払って屋内のロケ地を借りたりする場合は当てはまらないと思います。我々はケチなのです。わっはは
7、演技うまくいくかも賭けに近い
役者が全員素人なので、「こいつはこれできそうだ」「彼は悪役の演技がうまかったからこれはやってくれるだろう」「怒る演技がミソだけどこの人はよく怒ってるからいけるだろう」のように、おおよそのあたりを付けて配役を決めますが、初めて呼ぶ人の時は正直「本当に演技うまくやってくれるかな…」という心配が頭をよぎります。
どんな役でもある程度できる人のときは心配ないのですが、難しそうな演技のシーンがあると、そこが本当にドヘタだったら作品として成立しなくなるようなケースもあるので気が抜けません。
実際、90分のアクション映画を撮影したときは、「死んだ父親役」の人の演技があまりにもやばかったのでセリフをすべて私の弟に吹き替えてもらう事態となりました。その役者とは仲がいいので特に気まずくはなってませんが、あれはなかなかやばかったです笑。私の編集量を思い返すと笑えませんがね! わはーは
ここまで書くと、超適当に映画撮影をやってると思われそうですがそんなことはありません! いざ撮影が始まれば本気で演技するし、撮った後は、撮った素材を最大限駆使して、一番いい形に編集するため毎日何時間もよなかまで作業をするのです。でも、本気で演技してもハマらない役だと素人だとどうしようもならないレベルのときがあるのです…そういう意味で「賭け」と書いた次第でござります。
『一人の怒れる釣り人』のときは激怒したり、ひゃっふ~とか言ってはしゃぐシーンがあったのでなかなか難しい方だったのですがなんとか形になりました。特に激怒の方は三文享楽監督が名演技を見せてくれました。毎日世の中に怒ってることが演技に活きた好例です。
まとめ
こんな感じです。こんな感じに大変なのです。
自主映画大変話は今までも何回も記事にしているので、そろそろ飽きたよ!という方もいるかも知れませんね…。ですが、撮影をしていると日常では絶対にありえないシチュエーションがしょっちゅう起きるので、非常に刺激的で面白いです。正直、ここに書いた「大変なこと」も、すべてスリルがあるとも言えますし、大変さを工夫を凝らして乗り越える楽しさもあります。
今回は実際に撮った作品を例に語ったので、けっこうリアルだったのではないでしょうか。数少ない素人の自主制作映画(インディーフィルム)撮影集団の役に立てればよいことです。
ではこの辺でカットで! そして…素人でも基礎は学んだほうがいいよ! こういう本でね…