一日の大半を「今日、なに食べよう」と考えて過ごしているモーミンパパです。「衣食住」という言葉がありますが、わたしの場合は「食食食……衣住」です。
一日が365回繰り返されたのが一年ですから、一年が過ぎてみると「今年、なに食べたかな」と考えるのが年末最大の考察問題となります。
一年間の総決算をしてみます
グルメ記事みたいのをこのブログに書かなくなって半年以上になりますが、決して断食していたわけではありません。書く暇も惜しんで、ムシャムシャと食べまくっていました。
そして年末がやってまいりました。そこでこの一年でわたしが食べた数々のおいしかったもののなかから、「ベスト20」をご紹介させていただきます。本当は「ベスト10」にしようと思いましたが、収まりきらなかったのです。
本当の本当は、もっとおいしいものを食べているのですが、それでは書ききりません。宿題やらずに夏休みの終わりを迎えた小学生の気分です。
あと、わかりやすくするために順位をつけましたが、あくまでも「私的」なものです。また写真を撮らなかったものは紹介しません。イタリアンやフレンチ、それと居酒屋では基本的にわたしは写真を撮りません。食べたり飲んだりが忙しいからです。息子と一緒に行った店でも撮りません。息子に撮らせるからです。なので、ここに書かないおいしいものもいろいろあったことも最初にお断りしておきます。
さらに、わたしはあまり高すぎる料理は食べませんが、コスパがどうのではなく、食べておいしければ値段の多寡は気にしない性分であることも付記しておきます。
【2018】心と舌に残るグルメ ベスト20 <20~11位>
20位 江戸川橋「新雅」のニラレバ炒め定食
裏道というには広いけど、そんなにクルマ通りも人通りもないところに、ぽつんと一軒ではないがぽつぽつ店がある程度のところで、昼時は行列ができている店です。なにを食べてもおいしいし、ボリュームもあります。ニラそばもおいしいし、ぼくの大好物のタンメンもおいしいのですが、たまには違うものと注文したニラレバ炒めに「ほほお」と感嘆しました。
以前書いたように、わたしはニラレバ炒めにモヤシが入っていることにすら疑問を持っています。ましてタマネギが入っていると「ケチくさい嵩増しをしてる」と眉間にシワが寄ってしまいます。ところがここのニラレバ炒めは、タマネギが入っているのも関わらず、それが邪魔ではなく「バランスのよさ」と思えてしまったのです。
食材品目が多いほど栄養バランスがよくなるのは当然ですが、そんなのではなく一品料理としてバランスがよかったのです。手際の成せる技なのか。ここの料理は色艶もきれいです。
19位 板橋「蜃気楼」のコース料理
板橋駅からてくてく歩いて、さみしくなってきたなと思ったあたりに、店だか民家なんだかわからない佇まいで潜んでいる店です。わたしは一回、通り過ぎてしまいました。中華料理屋なのですが、外観からはまったくその気配は伝わってきません。
なかに入ると、カウンターがあって、本当に狭苦しい小上がりがあります。あまり愛想のない店主がひとりでやっています。申し訳ないですが、雰囲気の欠片もありません。初めてのデートで彼女を連れて行って喜んだら、かなりの素敵な女性です。あるいは、かなりのすれっからしです。
実は予約の取りづらい店なんだそうです。知る人ぞ知る店なんだそうです。そう聞くと、ちゃらいカノジョも喜ぶかもしれません。わたしはそういうの、あまり興味ないです。むしろ人気がないのにおいしい店を見つけるのが好きです。
こちらは四川料理の店です。わたしは麻婆豆腐が大好きなので、四川料理はわりと食べています。ただし、日本でしか食べたことはありません。なので本場のことは知りません。知りませんが、こんな感じなのかなという料理が出てきます。
ホワジャオの効いた本格的な麻婆豆腐を食べさせる店は、なぜだかほかの料理はヌーベルシノワ的なものを出すところが多い気がしますが、ここは見事にアンシャンレジームです。「本格」なのでしょうか。
町中華のことを「日式」と呼んだりしてるのをよく見かけますが、その反対で中華は日本の料理ではなく異国の料理であることを主張しています。どの料理も舌が「いい塩梅」に違和感を覚えるのです。それが箸を進めてくれるのです。そして、腹ぱんぱんです。
18位 飯田橋「おけい」のタンメンとギョーザ
言わずと知れた人気店ですが、タンメン大好きのわたしとしては外せません。息子が紹介していたので書かなかっただけで、たまに無性に食べたくなります。
タンメンとギョーザを出す店は、たいていはどちらかをメインに考えている節があります。タンメンのお供に食べる調味料としてギョーザを食べさせるか、ギョーザの箸休めというか箸洗いに具の多いスープがわりにタンメンを食べさせるか。
わたしが思うに、ここはタンメンとギョーザを対等に扱っています。どちらが主役でもなく、従ってどちらが脇役でもない。両方食べて「完全食」となる。男優と女優の二枚看板で成り立つ恋愛ドラマのようです。
17位 新宿「FISH」白身魚とキーマカレー
告白しますが、わたしは鶏肉が苦手です。食べないわけではありません。以前、よく通っていた焼き鳥屋で「好き嫌いあるの?」と問われ、答えに窮したことがあります。レバーやハツなどの内臓類とネックやぼんじりなどの希少部位は好きなのですが、正肉は出てくれば食べる程度で、手羽は食べません。鳥の唐揚げはまったく食べません。理由は長くなるので省きます。
なにが言いたいかというと、インド系のカレーでは具材がチキンのことがとても多いということです。わたしはパスです。仕方なく豆のカレーを食べたりしますが、これも好きというほどではないです。
そこでフィッシュです。魚です。この店はかつて六本木のアークヒルズにありました。あまり六本木に用事のないわたしでしたが、近くに行くと食べていました。店名通りに魚のカレーが看板でした。癖にある味わいのある辛いカレーをはふはふして「ちと参ってきたぞ」となりかけたところで、具材の白身魚を口にすると地獄に仏。いえおいしいから地獄ではないのですが、涅槃で母親に抱かれたかのようなやすらぎが訪れました。
閉店してしばらく経ちますが、わたしが知らない間に新宿で営業していたことに今年になって気がつきました。インドカレーのおいしい店が多い中央線に暮らしているせいで、わたしのおいしいレーダーに死角が出来てしまっていたようです。
久しぶりの白身魚&キーマカレーは、同窓会で再会した高校時代の友だちのように懐かしくも気心の知れた味がしました。
16位 三鷹「和牛倶楽部」のコース
「山本」という人気の焼き鳥屋が開いた二号店です。鶏肉苦手なわたしもここの焼き鳥はおいしくいただきます。
息子からアルコールについてはあまり書くなと言われているのでいままで書きませんでしたが(グーグル検索の規制が厳しいため)、実はわたしは日本酒の燗酒が大好きなのです。ここは店内の一部が熟成庫になっていて、ワインのように一升瓶が横に寝かされて飲み頃を待っています。それ含めて店がおしゃれ過ぎて、お尻がむずむずしてくるのが玉に瑕です。
同じビル内の隣にできた店ですが、こちらは狭いせいかおしゃれ度はそこそこでお尻はむずむずしません。鳥ではなくて、熟成の牛肉をコースで食べさせる店です。
もちろん、燗酒が吞めます。居酒屋以外でわたしの好きな銘柄を揃えている店は少ないので、それだけでポイント高いのですが、それだけでないのは写真の数々を見てもらえればわかると思います。
歳取ってくると、牛肉はそんなに量が食べられなくなってきます。だからステーキ屋や焼肉屋に行く回数は激減しました。そんなわたしのようなジジイに嬉しい、でも店としては女子受けをねらったのであろう「ちょっとずついろいろ」愉しめるのがいいです。〆のカツサンドとカレーがどっちともおいしいのは男子受けもしそうです。ただしコースの内容は変わるので、カレーではないときもあるようです。
15位 仙台 「一仙」の真とろたん焼定食
ご存知の方も多いでしょうが、牛たんは仙台が発祥です。かなり昔になってしまいましたが、有名店や人気店を食べ歩いたことがあります。当然、元祖の店にも行きました。その後も地元のひとしかいそうにない煙たい店なども行きました。どれも「仙台に来た」気分にさせてくれるものでした。
東京在住なので、ふだんは「新宿ねぎし」で食べています。白たん厚切が贅沢ですが、おいしいと思います。でもがんこちゃんの噛み応えもよろしい。
しかしやっぱり発祥の地は違います。べつに国産牛使ってるわけではないのだから、東京と違いがなくてもいいはずなのに、やっぱり一段上をいってます。ここの店は値段もまずまずするのですが、たんが分厚い。厚いのではなく、分厚いのです。しかも前歯でするりと噛み切れます。混んでました。みんな地元のひとのようでした。仙台は冷やし中華も発祥の地のはずですが、そっちは東京で十分です。仙台行ったら牛たんです。
14位 西荻窪「佐々木製麺所」の中華そば特製
名前の通り自家製麺が売りのようですし、細麺なのにしっかり小麦の味がする麺は、太麺好きのわたしでも納得です。おいしいそばがそばの香りがするように、小麦の香りがするのですか。隣の隣にあるこれもおいしい「田口ベーカリー」のパンの香りかと勘違いしかけるほどに小麦です。
しかし麺以上に、わたしはスープに感動しました。わたしなら「佐々木製スープ所」と名乗っていることでしょう。またそばを例えに出して恐縮ですが、おいしいそば屋の温かいそばの汁を思い出してください。上品さ、味の濃さ(薄さ)はそのままに、ラーメンに合わせて出しゃばらない程度にコクを出しているのです。
具材も全部おいしい。ねぎが三種類も入っているのも、ねぎ好きのわたしには夢のようです。
またそば屋になりますが、もともとラーメンはそば屋がより食べでのあるメニューとして出し始めたという説もあります。
おいしいそば屋がラーメンをつくったらこうなるのではないか、そう思わせる一杯です。
息子と違って、わたしはそんなにラーメンは食べません。タンメンがあればそっちを食べてしまうからですし、おしゃれ気取りの創作系に食指が動かないせいでもあります。ここのラーメンは、それらとはくっきりと一線を画す、昭和のラーメンを真面目にブラッシュアップしたものなのです。
で、すぐにまたて食べに行ってしまいました。今度はラーメンとチャーシューごはん。麺が売りなのにごはんとはとの批判もあるでしょうが、チャーシューの燻した香りがラーメン内に浮かんでいるときよりも鼻孔を直撃してくれて、たまりませんでした。
13位 中野坂上 「らすとらーだ」のそばコース
そばにたとえていたから、次がそばになったわけではありません。
ここはとても変わった店です。まず、外観は店とは思えません。住宅街にある住宅の一軒にしか見えません。なかに入っても、半分は店っぽいですが、半分は住宅の居間にしか見えません。
わたしの知り合いがやっていますが、いまっぽく言えば「そばの沼」にハマったひとです。ついでに他の食材にもハマり、日本酒にもハマってしまい、器にまでハマってしまっているので、普通の住宅的な店とのミスマッチが激しいです。
詳しく語ると長く長く長くなるので、写真から想像してください。産地の違う三種類のそばを、どれも石臼引きで出したりするとだけ書いておきます。
12位 四ツ谷 「たけだ」のカキバター定食
冬の味覚といえば、カキです。カキといえば、カキフライです。他にも生ガキに始まりカキの土手鍋やらなんやらあるでしょうが、そんなものはどうでもいいです。ただし、ここのカキバターを除いては。
行列覚悟のこの店はカキフライもおいしいのですが、カキバターは「やられた」と思う完成品です。洋食というジャンルが「西洋料理の日本化」を命題としてできたものであるなら、まさにその使命を果たした料理です。カキは冬のなかでも、初めの頃と終わりの頃で産地を変えているようです。どこどこ産というわかりやすい売りのつくれる産地よりも、おいしさを追求しているわけです。
おまけでカキフライの単品2個を。
11位 高井戸 「麻婆テーブル」の麻婆豆腐ライス
死ぬ前に食べたいのは「あおりいかの天ぷら」と答えているわたしですが、三大好物はタンメン、トンカツと麻婆豆腐です。ここ数年で東京の麻婆豆腐のレベルは格段にアップしました。もはやホアジャオ(花椒)を使うことは常識となっていますし、辛さだけでなく、頼めば痺れを増すことができる店もあります。
そんな居並ぶ店のなかにあって、あまりメジャーでもない井の頭線高井戸駅からさらにしばらく歩くこの店は、場所柄に似合わず洗練の味に仕上がっています。辛いし、痺れるけれど、そこだけで勝負していない味わいがある。ご飯も進みます。
写真はランチのものですが、夜はコースになっていてそちらもおいしい。もちろん〆は麻婆豆腐ですが、冬場は追加料金を払えばカキ入りの麻婆豆腐が食べられるし、払わなくても赤蒟蒻入りの麻婆豆腐などという珍しいものが出てきたりします。写真はありません。ここはワインの持ち込みが二千円でできるので、麻婆豆腐が出る頃には酔っぱらってしまっているのです。
ひとこと
10位から先はまたのおたのしみということで。