こんにちは。
いつもは映画制作や作曲の話をしてるブログですが、あまりにもすごかったので記事にしてしまいます。
寝不足で今日は14時くらいに起きて遅い朝飯食って、「テレビ付けるかな。いや、たまにはテレビなしの静かな日もいいかも。…いや、やっぱ付けよう」なんてボサボサ言ってテレビ付けたわけです。
最初は「SPEC」の映画か何かがやってたのですが、途中から見てもよくわからないのでチャンネルを変えます。色々回してもピンとこない。そうするとラグビーの試合がやってました。
普段はラグビーの試合を見ることなんて一切ないのですが、チャンネルを変えた瞬間にテレビから伝わる熱気がすごかったのです。私の中でのラグビーは『1・2の三四郎』しかないレベルだったのに、なんだか引き込まれました。
なんとラグビー史を変えるレベルの分岐点だった
途中で知ることになるのですが、どうやら本当にすごい試合であることがわかります。
いきなり同点に追いつく日本
見ると、南アフリカと日本の試合でした。妙に盛り上がっています。気になるので普段はラグビーは見ようともしないのですが、試しに見てみることにしました。
解説が「ここで決めれば日本、また同点に追いつきます!!」
なんとなくこの言葉で、格上の相手に僅差で喰らいついていった感じは読み取れました。そして、この後すぐに日本が点を決めます。ここで観客大歓声!
南アフリカ29VS日本29
チャンネル変えてそうそうに同点に追いつきました!
その得点の流れが、ラグビーを全然知らない私でもかなり完璧なものにみえて、「日本ってラグビーで海外にこんないい展開できるのか」となんとなくすごさを感じていました。絶妙に敵を引き付けて、確実なパス。そんな雰囲気がありました。解説もこのプレーを絶賛でした。
最初から見ていた人からすればにわか野郎ですが、この時点でなんだか私はこのラグビーに引き込まれていました。普段だったらラグビーの試合やってたらチャンネル変えちゃうんですけどね…
南アフリカに点差を付けられる
しかしその数分後、南アフリカに攻められ、ゴールのかなり近くで反則をしてしまい、相手にチャンスを与えることになってしまいます。南アフリカは、トライを狙うかペナルティゴールを狙うか…という場面になったようでした。
ちなみにトライだと5点、ペナルティゴールだと3点が得られます。ペナルティゴールはボールを蹴ってゴールに入れたら得点です。トライは下記の説明を参考にしてください。ちょっと説明が大変なので…hahaha
トライ
敵地のインゴールと呼ばれるスペースにボールを着地させることにより認められます。このボールの着地は、ボールを持ち込んだプレーヤーがボールに触れた状態でないと認められません。例えば、ボールが転がっていってインゴール内に入ってもトライになりません。このボールをとらえ、地面に触れさせた時点でトライと認められます。
素人が感覚的に言うと、ボールを持ったまま敵陣のゴールラインを越えて突っ込んでいかなくてはならないようなイメージです。ゴールが近くても、こっちの方が時間がかかるし、相手にボールを取られたら終わりなので難しいのだと思われます。
なので南アフリカは、「ゴールが近いから無難にペナルティゴールで点を取ろう」と判断したと予想ができます。南アフリカの体格をもってしてそんな判断をさせるということがすでに、日本が侮れない敵であったことを物語っているように思えます。『1・2の三四郎』を読んでいた時も、ラグビーを知らないのにのめり込んで読んでましたが、現実のラグビーの試合でこの面白さを感じることになるとは思ってませんでした…。
…ちなみに『1・2の三四郎』というのは漫画です。初期は高校生の青春ラグビー漫画みたいな感じなのですが、途中から柔道漫画?になったりしながら、最後主人公が大人になってプロレス漫画となります。『1・2の三四郎』では主人公がキックがめちゃくちゃうまかった記憶があります。
この漫画はたぶん5回くらい読みましたが、ラグビー知らなくても面白かったですね。基本はギャグだけど、体をはりまくりな熱気、そして異種格闘技的なはちゃめちゃ具合がたまらんです。主人公がちゃんと年をとるってのも意外と珍しいと思います。ラグビー知らない人にはお勧めですね。私の場合は逆に、この試合観て読み直したくなりました笑。
…と、そんなことはさておき、南アフリカに無難な選択をさせた時点で日本は勝利に導かれていたのかも知れません。南アフリカは無難にキックを決めます。
南アフリカ32VS日本29
残り時間6分。
そうです。残り時間も少ないことで会場は、にわかの私をテレビ越しに引き付けるほど盛り上がっていたのです。
実は優勝候補だった南アフリカ
あ~、点取られちゃったか…と落胆していると、私はやっとテレビ画面右上の文字に気付きます。
優勝候補南アフリカ
ええ~! そうだったの! だからこんなに盛り上がってたのか! 優勝候補相手にこんなに喰らい付いてるばかりか、日本は素晴らしいチームプレーと猛烈な突進のガッツで点を取り、南アフリカは置きに行くようなペナルティゴール。点を取られてもなお、雰囲気は完全に日本ムードでした。「弱小と思われた国が優勝候補に革命を起こそうとしている瞬間なんだ」と。そこでやっと、そう知ったわけです。
何と言ったって、日本がワールドカップで勝利したのは24年前にたった一度だけ。それに対し南アフリカは2度も優勝しているのです。これは試合後に調べたことですが、すごい試合ですよね。
なんだか日本人じゃない人もみんな日本を応援してるから「なんか変だな~」とは思ってたんですよね。ラグビーファンを完全に味方に付けてしまっていたようでした。
解説もペナルティゴールを取られたのはむしろラッキーだ、と語っていました。それはなぜか? 日本がトライを取ったら勝つからです! 『1・2の三四郎』ではないですけど、本当に漫画並みか、漫画を超えるような盛り上がる試合です。
トライを果敢に狙う日本
その後も日本はトライを狙いにいき、猛烈な攻めを見せます。しかし南アフリカのディフェンスも固く、日本もなかなか攻め切れません。ゴール前10mくらいまで来てもなかなかそれ以上先に進めないのです。
日本のタックルをがっしり止める南アフリカ。しかしボールは決して取られない日本。スクラムを組んだりもしつつ(どういうときに組むのかはあまりわかってない)、個々人は猛烈に突進しながら、チーム全体としてはじりじりと一歩一歩攻めていく日本。
そうこうしている間に、時間は残り2分程度になります。
もう会場の盛り上がりは大変なことになっていて、私も釘づけでした。「SPEC」も嫌いではないですが、あそこでチャンネル変えといてよかったと思いました。
続く激しい攻防
そして残り1分頃…日本がゴール前30cmくらいまで攻めます! そうするともう日本の南アフリカも選手総がかりで一つのボールに飛び掛かります! 一つのあのボールがこのグランド上では世界のようなものなのだな、と思います。
ボールが見えないほどに覆いかぶさったまま、ついにその選手の山がラインを越えます!
これはトライ成功なのか!? それとも、入ってないのか!?
周りからは正直全くわかりません。残り1分。審判も決めかねます。ビデオ判定に入るも、テレビ上でスロー映像をいくつかの角度から見ても正直よくわかりません。というか、ボールがどこにあるのかわからないくらい激しく人が重なり合っているのです…
判定の結果は…
だめでした。これは入っていませんでした。残念。
諦めない日本
しかし日本は全く諦めていませんでした。残り時間1分で決めればいいのです。そしてゴールまで数m程度のところで続く攻防。
そんなこんなで両社譲らずに激しい攻防は続き、敵チームは反則で一人減ったりもしつつ、なんと最後はロスタイムにまで突入します。しかし、このロスタイムがサッカーのそれとは少し違います。というか、結構大きな違いです。
ロスタイムが経過した時点でノーサイド(試合終了)となるのではなく、得点やペナルティ(スクラム/フリーキック)、ボールがラインの外に出るなどによって試合が止まると同時に、笛が吹かれてノーサイドとなるため、実質的なロスタイムは目安より長くなる事が多い。
つまり、ロスタイムに突入したらボールが外に出た時点で負け…ということになります。逆に、日本が得点を決めたら、その時点でも終わりです。
そんな中、日本にもペナルティゴールをするかどうかの選択が与えられる場面が来ます。ゴールのかなり近くの場所、決めるのは恐らく難しくはありません。ですが、ペナルティゴールは決めても3点。つまり、これを選んだらその時点で、最高でも「引き分け」にしかならないのです。そんな中、日本は即答に近いレベルでトライを選択します。トライを選んだというか、スクラムからのトライを狙うことにした…ということです。
もう残り時間はなくなっています。最後のワンプレーです。トライをする以外に道はありません。
そして…
根性の突進、それを防ぐ南アフリカ、絶妙なタイミングでの的確なパス、そしてまた大胆な突進…。
素人目にはその雰囲気が伝わるだけで十分過ぎる迫力です。細かいルールや戦略はわかりませんが、とにかく最後まで諦めていない…それどころか勝利しか考えていないようなその姿に涙ちょちょぎれます。正確にはちょちょぎれ寸前です。
このボールを失ったらその瞬間で負け確定。そんな中、確実に出されるパス、そしてそれを繋ぐ選手たち。そして最後の最後にわずかに空いた空間にパスが出ます。それを猛ダッシュでディフェンスにかかる南アフリカ。しかし、タックルされる寸前に突っ込む日本。身を投げ打ち、ボールをグランドに…
もうそこからは会場大歓声です。トライ成功です。
日本34VS南アフリカ32
応援席も歓喜の涙。私も感動です。
南アフリカがペナルティゴールを選択したのが逆に日本に勝利をもたらしたとも言えます。そして、そう選択させるほど日本の強さ、迫力があったということです。これを見てラグビーのファンになる人もたくさんいると思います。そういう試合でした。途中から見たにも関わらずこの感動ですから、最初から見てた人は号泣ものではないでしょうか…。
感動を生む
感動すると特に語る言葉が出てこなかったりしますが、本当に心動かされました。
普段は心動かす映画や音楽を作りたい…という気持ちで生きていますが、スポーツも作品みたいなものだな、と思ったりもしてしまいました「スポーツは素晴らしい。なぜならばAであり、Bであるからだ」なんてつまらん話は主張にしか過ぎないですが、試合そのもので「スポーツの素晴らしさ」を伝えるのは作品のそれと同じです。
チームワーク、努力、根性、すごい技術、諦めない精神、そして勝利の喜び。とにかくいいものを見たなあ、という感じです。
自分もなにかそういう感動や驚きを与えられるようになろう、とより一層思わされた試合でした。
ではまた!