三文 享楽 小説・エッセイ等

無料web小説 短編28『教育ってムズカしい』【三文】

2017年11月14日

こう見えても教員免許を持っていると言うと、だれからも驚かれる三文享楽です。

私は教育的な人間と思われていないようです。

 

ところで、教育的って何でしょうかね。

教える人間にだって失敗はあり、正解なんてない。それをどうやって教えていくというのでしょうか。

答えなんてどこにもない。でも、人間社会で生きるならばこういう生き方が一般的であり、妥協点である。だから折り合いを見て起動修正しつつ、はみ出さない程度に生きることが無難だよ。

こうやって教えればいいのでしょうか。

 

間違ってはいないと思いますが、子どもにこれを分かってもらえるでしょうか?

 


教育ってムズカしい』

いい? ジュンちゃん。悪いことをたくさんして、死んじゃうと地獄に行っちゃうのよ。

地獄ってなあに?

スゴく恐いとこなの。角をはやしたオニっていう生き物がいて、ジュンちゃんの体を食べちゃうのよ。

へえ、怖いね。ボク、そんなとこ行きたくないよ。

だからね、生きている間にたくさん良いことをするの。他の人がうれしいって思うことをね。

そうすれば、平気なの?

ええ。良いことをたくさんすると天国っていうところに行けるのよ。

天国?

ええ。ここはとっても平和で、ジュンちゃんが楽しく過ごせるところなの。

ボク、そこに行きたい!

そのためにはね、良いことをたくさんするの。生きている以上はね、悪いことをするかもしれないけど、それ以上に良いことをすれば、天国に行けるのよ。

今のボクは良いことと悪いこと、どっちをたくさんやってるかな?

まだジュンちゃんはどっちも同じくらい。だから、これからたくさん良いことをすればいいのよ。

うん、分かった。ボク、がんばる。ママ、肩をもんであげる。

まあ、さっそく、良いことね。

その後、ジュンちゃんは食器洗い、せんたく、床のお掃除を手伝った。

一日でこんなにもいい子になるとは思っていなかったので、ママもビックリである。

 

その日の夕方、ジュンちゃんはマンションの屋上にいた。

屋上のさくを乗り越えちゃダメって、あれだけ言われてたけど、良いことを四つもしたんだ。一回くらい悪いことをしてもいいよね。

直後、一人の幼稚園児が宙を舞った。

 

三文ぼやき

幼稚園児のみなさん、屋上のさくを越えてはダメですよ。

絶対に押すなよ!と言われたら、絶対に押したらダメですよ。

人の言うことを信じるな、ということを信じて、言葉のジレンマに陥ってはダメですよ。

 

教育的な人のセリフは指導ばかり。息がつまりそうですわな。

 


 

↓死んだって辛いことばかり。じゃあ、生きていたっていいじゃないですか。

↓幼稚園児が宙に舞ったけど瞬間移動して屋上に戻ってきた、という話の展開にして実写化したいならこれ。

↓教育を含めた精神世界。理想を頭の中で思い描き続けて向かう先。