ひさーしぶりのドラクエ新作が出てちょうど一か月の頃にこの記事を書いてますが、ドラクエ11、クリアしました! 別に今日クリアしたわけではないんですがまあいいでしょう。
一言でいうなら、面白かった。そして、予想をかいくぐられた。裏切られたというか、かいくぐられましたよ、はい。
ニンテンドースイッチ版である「ドラゴンクエスト11S」の発売もありますが、11を未プレイの人は間違いなく買う価値ありだと思います。プレイ済みの人でも買ってもいいと思います。私はたぶん買います。
※2019/9/9追記
ドラクエ11S 完全版が発売されるので、そちらのレビュー記事も書いています。
さて、途中までプレイした感想と、歴代ドラクエすべてを語る記事ではドラクエ11についてすでに書いてますが、単独ではまだ記事にしていなかったのですることにしました。
ドラクエについて書くといつもつい書きすぎて疲れるんですが、今回も疲れようと思います。
いやね、書くことが多いんだよね。なにせドラクエがきっかけで作曲が趣味になってこのブログでも素材として配信してるくらいなので…わはは。
ちなみにネタバレはあるのでクリア前の人はまだ見ないこと推奨です。
ドラクエ11のストーリーを語る
さあ、まずはストーリーについて。RPGはストーリーが重要とも限らないんですが、まあ、昨今のRPGにおいてはやっぱり重要ですよね。
ストーリーによる行き先や行動のしばりが強すぎるとゲームプレイの自由度が損なわれはしますが、「先が気になる」「あそこはどうなってるんだろう?」というプレイの動機付けには重要です。
クリアしたいと思わせるにはドラクエにおいては「魔王を倒したい」と思わせることが重要ですし、それはストーリーにかかわりますからね。
ちなみに、ドラクエで特に人気な作品は3と5ですが、この二つは結構趣向が違います。
3はかなり自由度が高く、「魔王を倒す」というのが全面に出ています。一方、5は家族3世代に渡るドラマチックなストーリーが醍醐味で、魔王はだいぶ人気がありません。
下記記事でも魔王については語っています。
では、ドラクエ11はどうなのかというと…
いいとこどり
ですね。
「魔王を倒す」という強い動機がプレイヤーを引っ張りつつも、ドラクエ5のようなドラマチックな展開がたくさんあります。11も家族ネタは絡んできます。
魔王の存在感、倒さなきゃ感はドラクエ3並みにあると思います。
なので、ドラクエ11はドラクエ3と5のいいとこどりをしたできになっています。
…と思いきや、さらにここにスパイスが加わります。
それは…
7です。
不人気なドラクエ7です。
私はそのきめ細やかで深み・人間味のあるイベントの数々、そして序盤の”世界にはこの島しかない感”がすごくうまく出てるあの雰囲気なんかが非常に好きなんですが、大筋のストーリー(魔王を倒す的なもの)がだいぶ弱く、各イベントが切り貼りしたようになっているということで不人気なのです。
最近は再評価されてる感はありますけどね、基本的には人気ないほうです。
ドラクエ11には、この、ドラクエ7のような「きめ細やかで深み・人間味のあるイベント」もたくさん存在するわけです。ガチンコで比べるとドラクエ7の方がより描写が細かいですが、11はゲーム的な演出がかなりうまいです。そこは歴代でも最高だと思います。
なので、ドラクエ11のストーリーは、ドラクエ3と5と7のいいとこどりをしたようなものなわけです。
この時点で私が言いたいことがわかりますよね笑。
ドラクエ11は面白い! です。
ちょっと抽象論になってしまったので、具体的なストーリーに触れます。
ドラクエ11の本道ストーリー
主人公は16歳の誕生日を迎え、幼馴染のエマとともに、イシの村の成人の儀式として”神の岩”に登る。
そこで、勇者の力の存在がわかり、自分が”勇者の生まれ変わり”であることを告げれらます。
「デルカダール王に会えば、すべてが明らかになる」
その言葉を信じ、主人公は王へ会いに行く。
しかし、そこで主人公は「勇者は悪魔の子」だと言われ、一転、追われる身となってします。
果たして勇者とは何なのか? その使命とは、そして本当に勇者とは正義なのか?
勇者伝説の謎を解き明かすため、主人公は旅の途中で出会う仲間たちと共に冒険へ旅立つのであった。
…というのが序盤の流れです。
ロトシリーズとのつながり
これに加えて、舞台がロトゼタシアというのが熱い。ロトといえばドラクエ1~3(いわゆるロトシリーズ)。そこにつなげてくるのか!? という期待感が最初からあるんですよね。これは過去作からのファンはたまらない。
そしてそんな中、ストーリーの要所要所で、勇者を示す”手の甲のあざ”が光り輝いて問題を解決していきます。そう書くとくだらなそうですが、演出的には全然ありです。
あざは勇者を示す紋章になっていますが、ロトの紋章とは違う形状です。
ちなみに、冒頭の16歳の誕生日に王様に会いに行くというのは、完全にドラクエ3を意識してます。これもファンはニヤリ、げへへーーとなること請け合い。
ドラクエ3では、そこで素直に「勇者よ、魔王を倒してまいれ!」と言われて、ひのきのぼうと50G?みたいなしょぼいものを与えられて仲間を探しに行く展開となります。
今の時代それだとツッコミが入りますが、ドラクエ11はかなり工夫した展開になってます。
堀井雄二が何かで「驚かせるのが好きなんだよね」と言っていたのですが、これは恐らく「プレイヤーはどうしたら一番驚くだろう?」と考えて逆算した結果だろうな、と思いますね。
まあ、驚かせるはずの場面をCMでも各地のプロモーションでもガンガン売りにしてたので、実際には「勇者は悪魔の子だ」と言われる場面では驚かないんですけどね。
でも、その後も驚き要素がそこら中に出てきます。なので、基本的にストーリーに飽きません。
とにかく、このような意外な展開の大筋ストーリーがぐいぐい物語を引っ張ってくれつつ、すべてにおいて勇者・魔王というのが絡んでくるので、「魔王を倒す」という強い動機・目的、使命感を持ったままプレイすることができます。
その後のストーリーは長くなりすぎるので一旦割愛。また後程触れます。
とりあえずドラクエ5的なドラマチックさと、7的な粒そろいのイベント、そして3並みの各シリーズを結ぶさらに大きなストーリーの流れが揃っていていい感じです。
探せばもう一歩だったな、と思う展開もありますが、全体としてはかなりいいです。悪魔の子として追われてる感が薄目だったとかはありますが、まあ許容範囲。アニメ・漫画的に感じる展開もありますが、違和感はあまりない。
よかったところ
ここからは単純によかったところ、不満だったところを書きます。
キャラがいい
歴代ドラクエを語る記事にも散々書きましたが、今回はキャラがいいです。毎回いいですが、今回は自分の中ではベストです。もしくは同率一位ですね。
デザインもいいし、性格・キャラクターもいいし、まつわるイベント・背景・設定もいいです。
さらに言うなら、ステータスやら能力の違いもバランスいいと思います。
ドラクエ4も個性的なキャラが大人気だと思いますが、今回はよりリアルな人間像が描かれています。デザインも4より少し地味なのがリアルなのかも知れません。ただ、今回のドラクエは追われる主人公一行なので、4の雰囲気だと派手すぎると思います。
5もリアルですが、それよりはキャラ的な面白さが強調されていて、これまたドラクエ4と5のいいとこどりとも言えますね。やりますね、11。
キャラの背景
今までのドラクエではあまりありませんでしたが、全キャラ、仲間になる際に何かしら秘密・事情を思わせるようになっています。そして、それの解消のイベントがどれも考えれていて、キャラの背景に深く触れられるようになってます。
キャラものゲームではないので、キャラばっかり目立っても仕方ないと言えばそうなのですが、これまた勇者に関わるか、もしくはイベントとして単純に面白いものばかりです。プラスポイント以外の何物でもありません。
ロウとシルビアだけは専用曲がありますが、ロウの曲はすぎやまこういち氏が勝手に作ったといううわさも見かけました。4のように全キャラ曲があるわけではないですが、この2曲もキャラが表れていて面白いです。
ロウは途中からエロキャラが強くなりすぎて一瞬置いてかれますが、後半は慣れます。
戦闘システムのゾーンがまあまあいい
戦闘システムもなかなかですね。
真新しいことはないのですが、斬新なことを期待しているわけではないので、それはいいのです。
8~10はテンションシステムが存在していましたが、これは正直そんなに好きではありませんでした。明らかなインフレなんですよね。ためるのもテンポ悪くなりますし。あと、テンションというワードがあまり嬉しくない。
そこを行くと、11は”ゾーン”。ゾーンに入るってやつですね。まあ、ほどよいネーミングな気がします。
そして、テンションシステムほど戦闘バランスが崩れない。9の”ひっさつ”よりもネーミングもいいですし、あれよりもバランス的にもいいと思います。戦闘が終わっても切れなかったり、ゾーンに入るとステータスが上がるので、そのまま戦うか、連携技を使うかの軽い駆け引きもあっていいスパイス。
敵もゾーンに入るのがいいですね。
戦闘難易度はウルノーガ撃破後までは比較的簡単ですが、ボスがゾーンに入るといきなり壊滅状態になったりするのはよい緊迫感を生んでくれました。ゾーン賛成派。
スキルパネルがちょうどいい
これもRPGでいえば特に新しさはないんですが、ドラクエ的には今まで取り入れたことはなく、なおかつちょうどいいシステムだなと感じました。次回もこれでいいかも(次回作あるのかな)。
従来のドラクエのスキルシステムよりは自由度あり、でも複雑ではないのがちょうどよかった。あと、ストーリー・イベントと連動してスキルパネルが増えるのもよかった。今までは案外そういうのほぼなかったので。
各キャラの紋章がスキルパネルの形状と似てるのも面白かったですが、勇者以外のキャラの紋章についてゲーム上でまったく触れられてないのは消化不良。スキルパネルで使うだけなのか、12以降で伏線にする気でもあるのか…謎。
ただ、システム的にはほどよい自由度でよかった。職業システムがなかったが、あるとキャラ性がすごく薄まってしまうので、今回はこれでよかったと思う。職業システムはキャラが薄くないと矛盾が起きやすいので。
当たり
地味に面白かったのが、”当たりシステム”。システムというほどのことでもないんだけども、スキルを解放するときにたまに”当たり”があって、当たるとスキルポイントが10もらえるというもの。堀井雄二っぽいなあ、と思ってしまった。
イベントが面白い
最初のほうにも本筋のストーリーと各イベントが面白いと書きましたが、面白いんです。
ここは特にネタバレします。なので、ちょっと改行してから書きます。
そろそろいいですかね。
…では。
…まず、いきなり魚になります。
ここは11をクリアした人なら全員印象に残ってることと思います。なんたって、物語中で最も緊迫したシーンの次の瞬間には、主人公が魚になってるんですからね。しかもまぬけなようで主人公の面影があるのが切ない。こりゃいい。
あれは堀井雄二的でありながら、なんだか詩的でもありました。釣りあげられるシーンなんかは、序盤のどうでもいい釣り人が伏線になってるのだからうまい。さすが。
次に、いきなり荒くれになります。「占い師風な女の人がいるな」と思って近づくと、いつのまに静かに荒くれになってるんです。この変わり方が非常にうまい! ゲームの特性をうまく活かしてます。
映画でもこういうのはありそうですね、演出方法は変わるでしょうが(長回しのカットでいつのまに変わってるとかだと思う)、とにかく不思議さの演出としてすごくよかったです。映画撮るのも趣味なのでそんなことを素人ながらに思いましたね。
かと思えば、いきなりパレード始まります。
淡々とした顔でシルビアに変な服を着させられて、陽気に手を振る主人公はシュール。ドラクエ的シュール。
しかもその直前まではストーリー的にかなりシリアスなのでギャップが激しい。でも、なんだかこれがシルビアの魂も感じさせるので、「ストーリーが台無し」なんてことにはなりません。むしろプラスです。
PS4ながら、このイベントはドラクエ3の王様になるイベントを思わせて、懐かしさを感じました。筵のその進化バージョンです。
ほかにも、仮面武闘会も雰囲気がいいですし、序盤で宝箱に隠れるいたずらデビルもいいです。
まだまだあります。これはドラクエ4を思わせますが、宿屋で気になる夢を見させて、次の目的地でその夢の謎を解く…というユグノアのイベントもよかったです。宿屋でイベントを起こすというのは、ゲームシステム的な回復場所で起きるイベントなのでちょっと面白さがあります。
で、宿屋の夢だけでなく、その後の行きでの先イベントがまた主人公の勇者としての使命・出生の謎なんかに関わるものなので、熱いわけです。というか、このイベントはかなり盛沢山で、どれもこれも工夫がされていて面白いです。
全体的にゲーム的な演出のうまさがあります。
単純に話として感動的なのは、人魚の話、ホムラの里のヤヤク・ハリマ関連なんかですかね。これもゲーム的工夫はされてますけどね。
…というわけで、とにかくいいイベントが多いのがドラクエ11でした。
ドラクエ11の音楽
今回、音楽はちょっと不安だったのですが、結論から言うとそうでもなかったです。かなり好きな曲もありました!
所々でちょっとネタ切れを感じる曲も多かったのですが、自分の主観だと言ってしまえばそれまでですし。過去曲をかなり使用していたのはオマージュ込みだと思いますが、ネタ切れと感じてしまう人もいたことでしょう。
愛のこもれび
11の新曲で最も良いなと思ったのは、命の大樹の曲(セーニャの曲)である「愛のこもれび」という曲ですね。名曲。
優しく、切なく、包み込むような素朴な曲。素朴な曲が一番作るのは難しいはずなので、これはよかった。ゲーム的にもすごく合ってる。全ドラクエ音楽の中でも好きな方に入ります。
実際は竪琴 or オーケストラ(主にバイオリン)ですが、ほかの楽器で演奏してもよい雰囲気。
音源
「愛のこもれび」ではあまり感じませんが、全体的に音源がしょぼかったので、オーケストラに期待といったところ。特に金管がほぼすべてに登場する割に薄い感じだったのが惜しい。
逆に言うと、金管楽器が登場しない「愛のこもれび」はあまり音源もしょぼく感じません。
ヒーローズもスーパーライトもビルダーズも同じ音源なのですが、これだけのビッグタイトルで音源をケチるとも思えないので、恐らくすぎやまこういち先生の事情が絡んでるのかな…と勝手に思ってます。年齢的にも新しい音源を先生が入れていないとか、トーセとの政治的理由だとか…まあ推測でしかないですが。
まあ、そんな音楽的じゃない話はおいといて、とにかくドラクエ11でも名曲を聴けて嬉しかったということです。なにせ、ドラクエ音楽がきっかけで作曲が趣味になって音楽素材配布までしてるもんですから笑。
その他、偶然か必然か、同じく金管が登場しない曲で好きな曲がもう一つあります。夜のキャンプの曲です(キャンプは夜しかありませんが)。
普通、町や、村の曲は昼バージョンを先に作って、後からアレンジで夜バージョンを作っているはずなのですが、この曲だけは夜バージョンが先なのでは? と思うたたずまいがあります。
静かな中に少しの語らいを感じる、ほどよく染みる曲です。昼にキャンプはできないのですが、いくつかの小さい拠点ではこの曲の昼バージョンを聞くことができます。
12がどうなるかはわかりませんが、次は今まで作ったことないシーンの曲だけ作って、その他はほかの人が作曲…という形でもよいので、ぜひまだまだすぎやまこういち氏の新たな曲を聴きたいなあ、と思う私でした。全曲つくるのが年齢・体力・ネタ的に大丈夫ならそれがベストですけどね。
ロト編とのつながり
これ、一番気になるところですよね。ロトシリーズをやったことのあるファン的には。どうだったかというと…
とにかく絶妙! だった。深くは語るまい。
ちゃんとドラゴンクエストになってるところもよかった。ちょっと無理やりといえば無理やりなんですが、そこは神話的な空気感で乗り切れる領域です。
いやあ、ロトシリーズってやっぱり凄い。
ネタバレゾーン
以下、長々と完全なるネタバレを含む内容を書きます。
ここからはクリア前提なので、一部説明も端折っています。ロトとのつながり関してがっつり感想・説明・意見?を書いてます。
【はじめに】
まず、ドラクエ11は従来のドラクエでいうところの「裏ボス」まで倒して、初めて作品として成り立つようなつくりになっています。なので、絶対に裏ボスまで倒すことをおすすめします。倒さなくても成り立ちますが、ロト編とのつながり…という意味では、裏ボスまで倒さないと全く成り立ちません。
というか、裏ボスがラスボスみたいなものですね。
ドラクエ11ではラスボスのウルノーガがドラクエ3のバラモスポジション、裏ボスのニズゼルファがドラクエ3のゾーマポジションです。要は、ウルノーガは中ボスみたいなものなんですね。
まあ、一応ウルノーガを倒すとエンドロールも流れるので、ここではウルノーガをラスボス、ニズゼルファを真のラスボスと呼ぶことにします。紛らわしいですね。
…さて。ドラクエ11といえば、ドラクエ1~3(いわゆるロトシリーズ)をやったことがある人なら、確実にロトとのつながりが気になることでしょう。
舞台の名前が「ロトゼタシア」なこと、明らかに見た目がロトの剣な剣が登場すること。
この二つから、「ロト伝説の始まりを描くのか!? もしくはその後の話か!?」 と、序盤から期待を寄せながらプレイしていた私。ただ、あまりそこばかりに期待をしていると途中でテンションが萎えるかも知れません。
最終的にはちゃんとロトについて語るのですが、最後の最後まではね、触れないんですよね。最後までは”ロト”という言葉も出てきません。ロトの剣は出てきますが、「勇者の剣」という形で出てきます。
ただ、本作はとにかくその「勇者の剣」が重要なポジションになっています。最後までプレイすると、これがうまかったなと思います。
ラスボスである魔王ウルノーガが長年求めていたのも勇者の剣、ロトゼタシアで最も重要な存在である命の大樹の中にあるのも勇者の剣、真のラスボスであるニズゼルファを倒すのに必要なのも勇者の剣。
更には、過ぎ去りし時を求めて時のオーブを砕くのに必要なのも勇者の剣です。
勇者の剣づくしですね。
11では、主人公の手のあざで示される勇者の力と、勇者の剣の力はとにかく重要なものになっています。で、その勇者の剣はどう見てもロトの剣なわけですが、ロトという単語は出てきません。
勇者の剣を見つけるシーンでも十分感動はあるのですが、そのままロトという単語すら出ないままもうウルノーガとの決戦になるので、途中で「あれ、これ適当にロトの剣出しただけで、ほぼつながりないってオチ?」と不安になるわけです。ロトシリーズとのつながりに期待をし過ぎるとそうなると思います。
そして、出てこないままエンドロールになるので、ロトとのつながりがなくても十分に面白くはあったものの、どこかがっかりしたような騙されたような気分のまま(一度目の)エンディングを迎えることになります。これは一時的にはマイナスなんですが、真のエンディングを見るとすべてが解消されるので、結果的にはプラスです。
で、真のラスボスであるニズゼルファを倒すと、真のエンディングになるわけです。…が、ここがとにかくロト編ファンにはたまらないと思います。ここで一気に繋げてくるんです。
クリア後にドラクエ3の曲が意味深に使われたり、ニズゼルファのセリフが明らかにゾーマ風だったりと伏線はあるんですが、真のエンディングまでは一切の明言がありません。それがここで一気につながるのは不思議な感覚になります。
私は結局つながらないかもな、とひねくれモードになりかけていたので素直な感動ができなかったのですが、それでも十分
「おー!」
と驚きました。
いや、感動もほんとはちょっとありました。非常によかったです。
神の民の絵などで「聖竜」が伏線として登場していたので、どこで出てくるのかな? と思っていたら、それもまた真のエンディングで出てくるわけです。怒涛なんですよね。
まさかの大樹が聖竜だったという展開から(実はオープニングムービーかなんかで、しれっと描かれているようですがで、「こいつはマスタードラゴン!!」とまず思うわけです。ここでいきなり天空編につなげてくるのか!? と。勇者の剣も、二本あるうちの片方は天空の剣に刃が似ていますしね。
…が、ちがいました。
勇者ありがとね的なことを確か言った後に、衝撃のセリフ。
聖竜「ロトゼタシアを救ったあなたは、こう呼ばれるでしょう。…ロトの勇者と」
こんな感じのことを言われます。ついに来ました、明言!
つまり、なんとドラクエ11の物語は初代ロトの勇者の物語だったわけですね(さらに深い構造があるんですが、それはまた後ほど)。これはやっときたかというのと、ドラクエ11自体のできがいいことも相まって、不思議な感動があると思います。
そして、その後にさらなる衝撃のセリフ。
聖竜「光と闇は表裏一体。私が闇に堕ちることもあるでしょう。その時はその剣で私を…」
なんと聖竜がこう言って去っていくのです…。
え、意味不明?
そうですね、けっこうなドラクエファンじゃないと雰囲気しかわからないかも知れません。でも、これは明らかにドラクエ1の竜王のことなわけです。
ドラクエ1のラスボスは竜王ですが、ちょっとしたファンなら、こいつがドラクエ3の竜の女王の子孫だというのは知っているんです(違う説もありますけどね)。で、竜の女王は光の玉を持った、いわば光の存在。
そして、竜の女王は恐らくゾーマと思われる存在に、自分の子供である卵を奪われてしまう描写があります(たしか)。つまり、竜の女王の子が、ゾーマによって闇堕ちし、竜王としてドラクエ1の世界で勇者と戦うわけです。
そして、ロトを継ぐ勇者が、その勇者の剣で竜王を倒すと…。これは映画にしても映えそうです。一本の剣が紡ぐストーリーです。
なんて壮大なつながり方! ドラクエ1での戦いが一気に熱いものに感じられてきます。ドラクエ1がすごくやりたくなります。
更にいいのは、ここでドラクエ1のワンシーンのカットが挟まれることですね。ドラクエ4以降は妙にシリーズ感のつながりに明確に触れるのをなるべく避けてきていた感がありましたが、これで明らかに聖竜は竜王につながるとわかるわけです。(ただ、見た目的にマスタードラゴンにも繋げられそうなのは、今後天空編を繋げたくなった際にもどうにかできそうだからでしょう、きっと。)
そして、その後はさらに粋な展開。ドラクエ11の冒頭はドラクエ3のオマージュでしたが、なんと真のエンディングはドラクエ3のオープニングで終わるんです。
これは、映画とかでも使われるブックエンド手法?だか何だかいうやつで、うまくいくと非常に深みが出る終わり方。深み、出てました。
時のオーブを割ったセニカがローシュと出会い、3主人公の母親へと血がつながっていく…ということを思わせる描写になっていました。3の主人公が勇者になれたのは、父親のオルテガの影響が少しはあるかと思っている人も多かったと思うので、これは意外なところを突いたと思います。面白いです。
ただ、ドラクエ11はこの辺が複雑です。主人公が時をさかのぼったか、パラレルワールドに行ったかなんかしているので複雑なんです。
セニカは、最後、ドラクエ11の主人公たちが邪神を撃破したようなシーンが描かれる本を読んでいます。が、それをしまう本棚には、もう一冊本がありました。それぞれ、緑と赤の本。どちらにも勇者の紋章が刻まれています。そして、緑と赤はセーニャとベロニカの色ですね。
物語は二つに分かれたのかも知れません。
要はこういうことです。
1、ニズゼルファをドラクエ11の主人公が倒し、11の主人公がロトの勇者となった世界。
2、ニズゼルファをローシュたちが倒し、ローシュ・セニカがロトの勇者となった世界。
どちらの場合でも、ドラクエ1の話も3の話もなくなることにはならないのですが、2の世界の場合は11の主人公たちの物語はまるまるなかったことになります。
なぜかというと、11の主人公たちが冒険したのは、ニズゼルファが倒されていなかったからなので、ニズゼルファをローシュとセニカたちが倒した世界では、11たちは冒険する理由がありません。主人公たちは生まれすらしないかも知れません。
特に、セーニャとベロニカはニズゼルファを倒すために大樹から生まれたと思われる描写があるので、確実に生まれてすらいないと思います。
なので、真のエンディングラストで3主人公の母親(セニカの子孫)が11主人公たちの本を読んでいたのは、セニカが自分の記憶だけに残っていた11主人公たちの物語を書き留めた本なのかも知れません。そして、もう一冊の本は、セニカたちがニズゼルファを倒した物語…と。
…。
複雑ですね。ドラクエに関してはかなり複雑です。ただ、最新作を今更ドラクエ3につなげるとなると、これくらい深みがある方がいいのだと思います。つながっているようなつながっていないような、だけど確実につながっている…みたいなよくわからん感覚になれます。
6も複雑でしたが、それよりずっと複雑かも知れません。時間を戻る系はどうしても複雑になるんですよね。矛盾も出てきますし。でも、11は非常に面白くまとめたと思います。正直、この展開は誰一人予想不可能でしょうね。
11主人公が勇者の力をセニカに渡す(コピーする?)シーンは、「なんでもありじゃねえか!」と怒るネット民も見かけますが、なんにしても面白いです。セニカが時のオーブを砕いて行った世界でも、結局ニズゼルファを倒さず封印していたとすれば、11たちの冒険は存在してきますし、その辺はいろいろ妄想可能になってますね。
というわけで、ロト編とのつながりに関しては、真のエンディングでほんとに一気にぶっこまれて凄くすごく深みのある内容になったわけです。なので、ロトとのつながりが欲しい!という不満に関しては、真のエンディングを見ればまったくもって解消されます。解消過多なくらいです。
残る謎
あとは、勇者の紋章の形に意味はあるのか、仲間たちの紋章に意味はあるのか、ケトスの覚醒の曲がラーミアだったのは単なるファンサービスなのか、ロトの紋章の形の意味は何なのか。この辺りも語って欲しかったですが、まあひとまず満足です。
ロトの紋章の形については、ロトゼタシアの地上絵やらイシの岩の絵を見てると、大樹の絵とつなげようとしているのでは…とも思いましたが、ここは堀井雄二さんの頭の中でも決め切ってない気がします。決める気があるかも微妙かなと。
イシの村の「大地の精霊」というのがてっきりルビスかと思ったのですが、ルビスに関しては完全ノータッチだったのも残念ですかね。まあ、アレフガルドじゃなくてロトゼタシアなので仕方ないのかな。6でもルビスが何故か出てきて、なおかつオープニングで出てくる山の精霊もルビスなのでは説もありますが、そこと繋げてくれればなあ、とは思いましたが、この辺はいつか出るリメイク版かスイッチ版に期待。
なんにせよ、ドラクエ11は単体でも面白い上に、シリーズ全体を通したストーリー的にも面白かったです。いやー12も出るなら、ロトか天空とはつなげてほしいものです。
序盤頃は勇者の星がドラクエ9と繋がると思ったのですが、それは大外れでした。まあ、9は10とつながっているので、そこは触れなくてもいいのかも知れません。ああ、12出てほしいものだ。
不満だったところ
最後に不満点を少し。
あまりありませんが、結構重要なのが二つほど…。
- ラスボスがダサい。
- ラスボス直前のイベントがあまり好きじゃない。
- 過去に戻った際、ナギムナー村の人魚イベントがおかしくなる(必ず人魚生存ルートになる)
こんなもんですかね。3つ目はミスかなと思ったら仕様らしいです(スクエニに問い合わせた人がいた)。
ラスボス直前のイベントというのは、ホメロス撃破後のことです。ホメロスは序盤で勇者を追ってくる、デルカダールの頭脳優れた英雄なので、そいつと戦うことになるという展開はいいのですが、倒した後の展開が個人的には微妙でした。
倒したはずが生きていて、「ぐわはは、お前らは馬鹿だー」みたいな展開になって、主人公たち一行が悪のパワーで体が動かなくなる
↓
何故か倒したはずのボスが復活してホメロスの背後から悪のパワーを放出してる
↓
しかし、謎のパワーで主人公たちみんな動けるようになる
↓
「なぜだー」
こんな感じの展開がちょっとヒーローアニメ的すぎて好きじゃありませんでした。珍しくしょぼいな、と思ってしまいました。熱い展開に見えなくもないのですが、ちょっと冷めてしまいました。
ただ、小学生もやるのがドラクエだと思うとこれはこれでありなのかも知れません。というか、ひねくれてなければ素直にこれで燃えるのかも知れません。
倒したはずのボスがご都合的に急に復活してるのは幻影説が有力のようなので、そこはまあよしとします(ホメロスは幻影を作り出せることはその前にわかってる)。
この後、ホメロスが本当に死ぬ寸前の一幕はいいシーンだと思うので、ここだけどうにかして欲しかった。
ただ、深読みしてる意見によると、ここで謎のパワーで仲間たちが悪のパワーを退けたのは、6以降に「だれでも(修業を積めばダーマ神殿で)勇者になれる」ということを暗示しているのでは…という意見もあったので、もしそうならこれはすごい伏線だと納得がいきます。
ちょっと深読みすぎる気もしなくはないですが、本当にそうなら私の意見も150度くらい変わります。
ちなみにラスボスがダサいのはそのままです。詳しくは下記記事で。
まとめ
まだまだ書き足していくのですが、ひとまずこれで。
ストーリーもシステムも面白く、ドラクエ3・5と並ぶようなできだったと思います。
ウルノーガ撃破前はちょっとヒントが多すぎかな、とは思いましたが、ほかはウルノーガ戦直前のイベントが好きじゃなかったのと、ウルノーガがダサいこと以外は不満なし。すごく面白かった。
そして、裏ボスクリア後のエンディングはすごくいい塩梅でロトシリーズを持ち出してくれたと思います。これはなかなかにテンション上がりました。そして、ドラクエ1~3をやりたくなりました。
12への期待
歴代でもかなり上位に入る面白さだったので、できることなら12もやりたいなあ、と思った次第です。13はすぎやまこういち先生的に無理かもしれませんが、12は仮に曲数が減ってもよいので、まだ作れるのでは…と期待を寄せています。
少し残っている謎に12で答えてくれたらいいな、と思い、楽しみにすることとします。エヴァのように無限に謎を呼ぶ方式にはしなそうなので、期待したいところ。天空編に繋げる話も見てみたいですね。
ではとにかく。
ドラクエ11、面白かったです。
やってない人はぜひプレイすることをお勧めします。
音楽も面白い。いつもよりちょっとポップな曲が多い。CDに関する記事も書いてます。
いやあ、ドラクエの集大成でした。
※2019/9/9追記
ドラクエ11S 完全版が発売されるので、そちらのレビュー記事も書いています。
↓ドラクエ好きに送る記事