画用紙。このラーメンを例えるなら画用紙である。
しかも、質のいい画用紙。何も描かなくてもすでに良い雰囲気をたたえた画用紙だ。
そんな画用紙ラーメンを本記事では紹介させていただく。ちなみに、色の乗りも素晴らしい画用紙だった。
生意気な表現でスタートしたこの記事だが、そんなことは気にならないくらいに良いラーメンであった。
私が食べた画用紙はこちら。
ふくぼく
神楽坂に2017年4月にオープンしたこちらの店のラーメンである。つまり、この記事を書いた時点ではオープン間もない。
きっと人気が出るだろうからその前に行けてよかった。行列必至になったら行きづらくなってしまうので。とか言いながらブログ記事で紹介する矛盾。ブロガーの悲しいサガなり。
で、店構えはこちら。
- 澄まし麺 ふくぼく
- 03-6265-0958
- 東京都新宿区神楽坂5-7
- 牛込神楽坂駅から413m
- 11:30~14:00
※澄まし麺はスープが無くなり次第終了
シンプルで和風なスタイル。そして写真を拡大すると多分読めると思うが、「こってり好きにはご免なさい」と書いてあるのが面白い。最近の広告手法っぽいキャッチコピーだ。なおかつ、「ラーメンと呼んで良いのかどうか?」的なことも書いてある。
そんなお店に入ると…
中も落ち着いた空間になっている。BGMもなかった。
音楽素材屋でもある当ブログとしてはBGMを流してほしいが、ないのはないでいい雰囲気だった。途中うるさいクレーマー気質なオバハン客が来るまでは、静かでいい雰囲気だった。ぜひあの人には土に潜り込んでほしい。
暗いこともあって画質が悪い。
ちなみに、お金は先払い形式。なので注文も先。店先の看板のメニューを見て決めておく必要がある。
メニュー
- 済まし麺(並盛 680円、半盛 500円、大盛 780円)
- 醤油かけ麺(並盛 680円、半盛 500円、大盛 780円)
- 名物 鴨出しご飯 380円
※税込価格 2017/4/27時点
この日は、済まし麺の半盛りと、醤油かけ麺の半盛りを注文した。
つまり、済まし画用紙と、醤油掛け画用紙である。…などとしつこく言っていると誰かが怒りそうなので、ここらでやめる。怒られなくても、あまり面白くないからやめようと思っていた。
済まし麺 半盛り&醤油かけ麺 半盛り
広めのカウンターで待つ。
あまり待たずして、まずは薬味が来る。
この時点で少し驚くが、薬味は別皿なのだ。薬味なしでも十分うまい、という自信がなせる技だろう。
また、卓上の調味料の説明もされる。
醤油、ゴマ油、黒胡椒、山椒(味噌的な感じ?の山椒だった)の4種があり、お好みで、とのこと。辛い奴は辛いから徐々に入れてください、とのこと。食べログを辿ると、もっと初期のころは醤油、ゴマ油、黒胡椒のみだった様子。
そして、済まし麺がくる。
非常にシンプル、素朴、透明感のある見た目。
少し遅れて醤油かけ麺のお出まし。
こちらもシンプル! というか、スープがないタイプだとは来るまで知らなかった。具のない油そばのよう。
というわけで食べるのだが…これがまたうまかった!
済まし麺 食レポ
まずは済まし麺。
香川の製麺所でうどんを食べた時の感動に似たうまさがあった。ただの麺と透明なスープだけでなにがどううまくなるねん、などと思っていると、このシンプルなうまさに哲学すら感じて悶えること必至だろう。
実際に悶えるまで行くかはさすがに別として、とりあえず最低限の美学を感じて、ファミコン音楽が好きな私は感銘を受けた。
半盛りだからかも知れないが、薬味を入れなくても全然最後まで飽きずに食べられる。スープはこの見た目でも意外に味がある。案外濃いような気すらした。そして、ゆずの香り、味がほどよくする。これが、非常に”ほどよい”。
で、麺もしっとりしていて美味しい。絶妙な組み合わせだな、と思わされた。
ちなみに、薬味を入れると見た目はこうなる。
これでもなおシンプル。
豚もうまいし、海苔もうまい。ネギももちろんうまい。全部うまいのだ。
豚も普通のチャーシューとは違うが、こういう形でも合うものだな、と発見だった。ドラクエ6並に発見のあるラーメンだ。
醤油かけ麺 食レポ
というわけで、お次は醤油かけ麺である。
こちら、見た目は具のない油そば、まぜそばのようだが、味はそうでもない。
少し甘いようなタレを感じるが、味はさほど濃くはなく、シンプルな味わい。そして、こちらもやはりうまい! 麺しかないので、麺のうまさが際立つ。もっちりというかなんというか、とりあえずうまい。
これは食べ方の正解が不明だが、もしかしたら本当は醤油をかけるものなのかも知れない。しかし、このままでも十分うまい。本当はこのままでも満足なのだが、せっかくなので卓上の調味料を使うことにした。辛い奴(山椒)を入れることに。
調味料追加
面白いことに、これを入れたとたんにガラッと味の雰囲気、方向性が変わった! まぜそばっぽくもあるのだが、それよりもむしろ本格的な中華系汁なし担々麺系の味わいを感じた(単純に山椒だから、というのはあるが)。麺もこういった少し固形ぎみな調味料を絡ませるのにベストな麺。
面白い体験だった。個人的にはどちらもうまいが、そのままの方が好きかも知れない。
私はやらなかったが、薬味を全部入れて、調味料も多めに使ってまぜると、完全なまぜそば風になるようなので、それもきっと美味しいだろう。色々な楽しみ方があるのは、元がシンプルだから。やはりシンプルというのは素晴らしい。
ひとこと
というわけで、いつもグルメ記事はそんなに長く書くことがなくて困るのだが、今回は困らなかった。
それだけ美味しく、なおかつインパクトがあったと言える。
同じくシンプル透明スープ系だと、同じく神楽坂にある田中屋の塩ラーメンもおすすめだが、「ふくぼく」はさらにシンプルなのが面白い。
田中屋は神楽坂のラーメン屋の中で一押しだったが、私の中ではそれを超えてきた。ぜひまた行きたいと思う。
…あ、「こってり好きな人にはご免なさい」。
…と言って綺麗なオチで終わりたいところだが、こってり好きな私でもうまいと思ったので、一度は行くことをお勧めします。