こんにちは。ドラクエの曲が好きで作曲まで始めてしまった管理人です。
ドラクエといえば、あの有名な「序曲のテーマ」を始めとする、すぎやまこういち氏による名曲の数々! 最近はCMでも使われて、より一層認知度が上がっている気がします。
そんなドラクエの曲を1~10まで聞きまくった私が、ドラクエに似ている曲・元ネタと言われている曲・なんとなくドラクエを思い出す曲を集めてみました。
まったくもってパクリだとか非難するつもりではありません。
音楽理論的に作曲技法が同一なもの・偶然メロディーの一部が似てしまったもの、オマージュしたと公言しているもの、すぎやまこういち氏が好きな作曲家に影響を受けたと思われるもの、なんとなく似ているだけのもの…そういった音楽をセレクトしています。
雰囲気が似ている曲を聞き比べるのは作曲のエッセンス・要素を学ぶのにも役立ちますし、単に遊び心的にも面白いと思います。ほんとに似てるのか?なんてのもちょろっと分析してみます。
それではどうぞ。
ドラクエの曲を思い出す音楽たち
作曲者本人もオマージュしたと公言しているような似た曲から、ほとんど似てないけどネット上では似てるいう書き込みをよく見かける曲まで色々あります。
そもそも、これだけ音楽が溢れかえっている現代では、あらゆる曲にまったく似ていない曲を作るのは非現実的なため、パクリだとかパクリじゃないだとかを判断するのはかなり難しいように思います。
たとえば大抵のファッション(たとえどんなにオシャレな人でも)は世の中の誰かと一部分はかぶってると思いますが、噛み砕くとそれと同じようなことです。まあ、音楽はファッションじゃないですが。
とにもかくにも、聞くとどこかドラクエを思い出すような曲を集めてみました。
ドラゴンクエストⅠより「広野を行く」
まずはドラクエ1より、フィールドの曲です。
アレフガルドで流れる名曲です。フィールドの曲はドラクエの曲の中でも特に名曲が多いように思います。たった二音でアレフガルドの広大な寂しさを脳裏に浮かばせる曲を作るのだからすごいですね。
ドラクエ1は一週間で全曲作曲したというから離れ業です。
ちなみに、最初はこの曲は「勇者の勇ましいイメージにふさわしくない」との理由で没になりかけたそうなのですが、しばらくしてスタッフが無意識に鼻歌でこの曲を歌っていたことから採用に至った…という逸話があります。
広野を行く <東京都交響楽団>
カテゴリ: サウンドトラック
ドビュッシー「パスピエ」
「広野を行く」を思い出す曲がこちら。
冒頭の伴奏系とメロディーが似ていることから、ネットでよく似てると言われているのを見かけます。
ただ、この曲からは「寂しげで広大な土地」のイメージは浮かばないので曲としては別物だと思います。
ただ、他の曲も含めた作風から考えるに、すぎやまこういち氏がドビュッシーを好きだという可能性は十分にあると思います。
ドラゴンクエストⅡより「王城」
これはドラクエ2の城の曲で、バロック調の曲です。
これはすぎやまこういちご本人が「A線上のアリア」と言っている通り、「G線上のアリア」に意図的に似せています。ほか、ドラクエ5の天空の城もこの曲に似た構成になっています。これは確かに似ていますが、メロディー丸パクリとかでは決してなく、雰囲気が似ているタイプです。
似せているのを公言していますし、オマージュ・作曲技法の模倣による遊び心的なものだといえそうです。
王城 <東京都交響楽団>
カテゴリ: サウンドトラック
「G線上のアリア」
クラシックの超王道の名曲です。
息の長いメロディー、オクターブ移動しながら徐々に下がる低音の動きなど、「王城」の元ネタと思える要素が詰まっています。
「G線上のアリア」を3音にして、よりゲームに合うように記号的に噛み砕いたのが「王城」ともいえそうです。ただ、「王城」は王城で非常にいい曲だと思ってます。
ドラゴンクエストⅡより「この道わが旅」
今度はドラクエ2のエンディングの曲。クラシック調ではなく、歌謡曲調のやさしい名曲です。卒業式でも歌われたりするタイプの名曲というわけですな。
これはダイの大冒険のエンディングでは歌詞が付いて歌になっています。そちらもまたいい曲です!
ドラクエ2は「LOVESONG探して」も完全なポップスですが、そちらも大人気曲ですね。
この道わが旅 <東京都交響楽団>
カテゴリ: サウンドトラック
On Eagle's Wings
これはあまり知ってる人いなそうですが、出だしだけ似てるパターンですね。
これはそんなに珍しいコード進行でもないので、ただ偶然似ただけでしょうね。
「パスピエ」もですが、出だしが似ていると似てる印象が強いのでしょう。「パスピエ」はまだ影響を受けている可能性もありますが、これはそういうわけでもない気がします。
ドラゴンクエストⅢより「王宮のロンド」
なにかと似ていると言われることが多い、ドラクエの城の曲シリーズ第二弾。
似てるというか、作曲技法の問題でしょうね。
ファミコンでここまで格調高そうな曲が作れるというのが驚きです。
(といいつつ、個人的にはスーファミ版の想い出が強いんですが)
王宮のロンド
カテゴリ: サウンドトラック
ヴィオラ協奏曲ト長調 第二楽章
クラシカルな楽曲です。
これもやはり出だしが似ているシリーズです。「ドミソド」の和音の駆け上がり、そしてその後に続く音階の駆け下がりですね。
補足コーナー
ここでちょっと番外編コーナー。
ドラクエの城の曲は基本的に「バロック調」で書かれているため、バロック時代の色んな曲に似ていると言われがちです。
ですが、沖縄音階で曲を作ったら多少なりとも「涙そうそう」的なメロディーが出てくるのは当たり前なのと同じように、ドラクエの城の曲に似てると言ってバロック時代の曲を色々引っ張ってきてもきりがありません。
「王城」と「G線上のアリア」はその中でもあえて似せてるところがありますが、それ以外は似てるというか、バロック時代のような「音楽理論・作曲技法」で作曲したという言い方が正しいように思います。(すぎやまこういち氏は、これを「音楽のバロック語」で作曲する…と表現しています。)
ドラクエ3の城の曲である「王宮のロンド」は「ヴィオラ協奏曲ト長調 第二楽章」以外にも、「ブランデンブルク協奏曲第5番 第一楽章、アレグロ」「ロンド / ヘンリー・パーセル」などにも似ていると言われているのを見かけますが、すべて「ドミソド」という和音をなぞるような出だしなだけで、全体的にはたいして似ていません。
このように、音楽の似ている似ていないというのは、やはり難しい問題なのです。プロが思う「似てる」と素人が思う「似てる」も違いますし、その中間の人が思う「似てる」もまた違ってくることでしょう。(まあ、どんな芸術もそうかも知れませんね)
ドラゴンクエストⅢより「街」
ドラクエ3より、聞いてるだけで楽しくなる街の曲です。
街の色々な表情を見せてくれる情緒豊かな音楽。かわいらしく和気あいあいとした街の雰囲気で始まりますが、2週目のアレンジでは少し切ない夕方のような雰囲気に変わります。
街(DQⅢ)ゲームVer.シンセ版
カテゴリ: サウンドトラック
ヘンリク・ヴィエニャフスキ「伝説 Op. 17」
これは全然知らない曲だった割に似ていたのでかなり驚きました!
最初のほうはまったく似ていませんが、3分15秒辺りからのメロディーは「街」を彷彿とさせます。
最初から通しで聞いていると、「街」のサビ部分に似たメロディーが流れてくるところでドラクエ好きな人は「ハッ」とすると思います笑。すぎやまこういち氏も聞いたことがあって、無意識に似たのかな…と思うくらいには似ています。
途中までは雰囲気も暗めなので「どこが似てるねん」と思ってたので逆に驚きました。
ドラゴンクエストⅢより「おおぞらをとぶ」
トヨタのCMにも起用された超名曲! ドラクエではじめて空を飛ぶのに相応しすぎる曲です。
ファミコンの2音だけで空を飛ぶような曲を作れるのが本当にすごいですね。
若干ネタバレでもありますが、上記24秒辺りから流れます。
久しぶりに聞いたらやっぱりいい曲でした。感動。
おおぞらをとぶ
カテゴリ: サウンドトラック
逝ける王女の為のパヴァーヌ
これは似てないです。どちらも名曲…という点は似ていますかね。
息の長いメロディー…というとこしか似ていないと思います。でも、よく似てるって書かれてるんですよね。なんでだろ。どこにと言われると困るのですが、掲示板とかですね。
ラヴェル: 亡き王女のためのパヴァーヌ
カテゴリ: クラシック
余談ですが、ドラクエ8のイベントには、この曲のタイトルを意識したものがあります。わかりますか? シセル王女とパヴァンのイベントです。逝ける=死せる=シセルで、パヴァーヌはちょっと変えるとパヴァンです。
ドラゴンクエストⅣより「呪われし塔」
雰囲気が何となく似ているかな?程度ですが、次はドラクエ4の塔の曲です!
当時、ファミコンの音色でこのメロディーは結構激しいですよね。すぎやまこういちのこういう曲って、謎のセンスが光っていて面白いです。
関係ないですが、楽譜を見てる部分もあるとはいえ、これを耳コピしてるのがすごい。演奏表現もいい感じだし…。
呪われし塔/ドラゴンクエスト4
カテゴリ: サウンドトラック
ガーシュイン 巴里のアメリカ人
こちらもちょいちょい似てると言われている曲。ただ、これはパクリと思ってる人はいなそうですね。
聞けばわかりますが、執拗に使われるメロディーのモチーフがちょいと似ていて、確かに少しだけ「呪われし塔」を思い出します。エキセントリックなモチーフのせいですね。
これは「なんとなく少し似てるな」というだけです。
ドラゴンクエストⅧより「静かな村」
これは曲発表当時から言われてますね。ドラクエ8の村の曲です。
夢の国のあの曲とメロディーが少しかぶった…というわけですね。
小さな世界(イッツ・ア・スモールワールド)
超有名な曲にメロディーがちょっとでも似ると、やっぱり「似てる」と思いますよね。
ドラゴンクエストⅧより「賛美歌に癒されて」
教会の曲ということで、賛美歌風です。
メロディーが一部かぶっているだけですが、これも「A線上のアリア」みたいな意図的パターンかも知れませんね。
ちなみに、すぎやまこういち氏は、小さい頃から母親の賛美歌を聞いて育ったそうです。
讃美歌に癒されて <東京都交響楽団>
カテゴリ: クラシック
ひいらぎかざろう
賛美歌のクリスマスソングです。一部、似てるメロディーのところがあるので、なんとなくドラクエを思い出します。ドラクエの教会の曲を聴くと、逆にこれを思い出します。
ドラゴンクエストⅧより「広い世界へ」
ドラクエ8を代表する曲です。
広大なフィールドというゲームの売りを、音楽で完璧に表現した名曲です。
何度聴いても広がりを感じる曲です。自然と目を瞑ってしまいます。
映画 「風と共に去りぬ」 タラのテーマ
こちらも映画の名曲。
これも広がりを感じる曲ですが、こちらは途中から抒情的な面が強くなっていきます。
盛り上がる場面でバイオリンによる高い跳躍メロディー、ホルンによる対旋律が入る…というオーケストレーション的な側面で似ています。
ドラゴンクエストⅨより「刃の旋律」
最後は、初のオンラインのドラクエとなって10の戦闘曲です。
当時けっこうネタにされた曲ですが、案外かっこいい曲だと思います。なおかつ、9までのドラクエの戦闘曲にはなさそうな展開があるのが面白いです。
戦闘システムが変わったので、それに合わせたのだと思います。
刃の旋律 <東京都交響楽団>
カテゴリ: クラシック
川口浩探検隊テーマソング(swatのテーマ )
急にクラシックとは程遠い曲です。イントロは似ていません。
http://www.dailymotion.com/video/x368bmj
まあ確かに…って感じですね! これもけっこうネットではネタにされてましたが、一度そう思うと気になる感じのやつです。
言うほど似てもないんですけどね…。
反逆のテーマ(特別狙撃隊 S.W.A.T.)
カテゴリ: ジャズ
呪(冒険の書が消えた時の音楽)
ドラクエをやってる人であれば、そして特にFC・SFCをやっている人であれば恐ろしい記憶として残っているであろうあの音楽。
呪われたときの効果音でありながら、実際には冒険の書が消えたときの効果音の印象が強いあの音楽。
あれに関してツイッターで「フランク:ヴァイオリンソナタイ長調第2楽章」の冒頭に似ている! という情報を得ました。で、聞いてみたら確かに一瞬「お!」と思ったので載せてみます。
跳躍の激しいメロディー(伴奏)が硬いピアノの音色で奏でられ、一瞬お気の毒な気分になります。これはパクリとか似てるとかというよりは、面白ネタですね。
まとめ
以上、こんな感じですが、どうだったでしょうか?
個人的には記事を書きながら、「こういう要素が被ると似てると言われるのか…」とか、「これはわざと似せてるんだろうな」とか「これくらいは似ることあるでしょ」とか、色々考えられて面白かったです。
似たような記事にはなりますが、次はドラクエに似ていると言われている曲から、「果たしてこれがドラクエのどの曲に似てると言われているのでしょうか?」的なクイズにしたら面白いかな。と思いました。
ドラクエに似ているというか、ドラクエがそれに似ている…が正しいですかね。
ドラクエ好きなんです
とにかく、私はドラクエの曲が好きで作曲を始めたような人間なので、似てる曲を集めたのもパクリを探せ!とかではなく、単純に面白いからです。
ちなみに私の曲はSoundCloudで公開していますので、よかったら聞いてみてください。きっと私の曲も世を探せば似た曲が見つかることと思います。
それでは、ドラクエをやりたくなってきたところで記事を終わります! ラリホー
…ついでにドラクエ全作品の気合の入ったレビュー&ランキング付け記事なんかも書いてるので、よかったらどうぞ。
久石譲、ジブリの曲に似てる曲の記事も書きました
こちらの記事もお勧め
様々なアレンジをされる「おおぞらをとぶ」を聴きたい方は
曲の分析をした記事も
ドラクエは音楽だけじゃなくてもちろんセリフもよい