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ドラクエ音楽分析①異世界系篇【精霊の冠・スフィンクス・闇の遺跡…etc】

2017年1月31日

私はドラクエ音楽が大きなきっかけとなって作曲を始めたわけなんですが、ドラクエの曲は相当に聞きこみました。

偏ってはいけない!と思い、クラシックやらポップス、パンク、ジャズなども聞く努力はしてきましたが、気づけばイデオンやら半熟英雄、弦楽のための舞曲を聞き、そしてまたドラクエに戻ってきてしまうのでありました。

イデオン、半熟英雄、弦楽のための舞曲はいずれもすぎやまこういちの作曲。

 

なわけで、それならばせっかくなのでドラクエの曲の分析記事でも書こうかな、と思い立ったので、ちょいと書くこととしました。色々な曲や技法について書いていければ…とは思っているのですが、なぜか初回であるこの記事は「スフィンクス」という渋い選曲。

 

ドラクエ音楽には街、村、城、フィールド、ダンジョン、塔、戦闘、全滅など色々な場面の曲がありますが、この記事ではその中でも「異世界系」の場面の曲における特徴・技法について書いていきます。

※ラストダンジョンのみにしぼった分析もいずれやると思います。今回はマニアックな回です。

 


ドラクエ音楽の簡単分析・解説①! 「異世界系」編

さて、いきなりマニアックですが…

ちょっと怪しく、異世界な感じがあり、そしてちょいと荘厳な感じの「異世界系」の曲の特徴・作曲技法について私なりに解説していきます。難しすぎる専門的な話はしないようにしつつ、ちょいちょい音楽用語やら作曲系用語を挟んでいきます。

具体的には、ドラクエ7のピラミッドや、各シリーズのラストダンジョン、ドラクエ10の塔の曲などの分析になります。

ドラゴンクエスト7より「スフィンクス」

まずは「スフィンクス」。ドラクエ7のピラミッドなどで流れる曲ですね。ピラミッドというとドラクエ3が思い出されますが、あちらは完全にアラビア系の音楽になっています。ですが、この「スフィンクス」は違う手法でピラミッドっぽさを表現しています。

 

①刻み、近寄ってくるような存在感ある低音の伴奏

上の動画を聞けばわかりますが、しょっぱなから鳴っているブッパッブッパッブッパッブッパッみたいな(この擬音で伝わるかな…)低音の伴奏。これがドラクエの異世界系の曲にはよく使われています。

迫ってくるような、それでいて落ち着いているような、そんな雰囲気が異世界の存在感・迫力にマッチしています。

ちなみに、基本的にこのタイプの伴奏はドラクエの邪悪なシーンの曲にはほぼ必ず使われています。曲の土台となる低音をちょっと不安定な和音の響きにして、尚且つそれを足音のように刻ませることで不安さ・根底からのおどろおどろしさなんかが出るのだと思います。

ラスボス戦の場合はそれがもっと強調されるように、ゆっくりとしたリズムで重厚な和音・音色になっていることが多いです。

 

②4度・5度・2度を基調とした、中世的な響き

ちょっと音楽用語が出てしまいました。〇度というのは、二つの音程の間の距離のことです。歌とかでハモるときは大抵3度か6度です。明るいとか暗いとか(コードでいうと、AとAmとか)、そういう和音の響きを感じる音程でもあります。親しみやすい響きです。

4度と5度は調和しているのですが、調和しすぎているためにどこか中性的な響き・神聖な響き・宇宙的な響きに聞こえるのです。有名な中世ヨーロッパにおいては、1度、4度、5度、8度のハモりしか認められていなかったりもしました。

ちなみに1度というのは同じ高さということなので、もはやハモってません。8度は1オクターブ高い同じ音なので、これもハモってるとはまた違いますよね。

2001年宇宙の旅で有名な「ツァラトゥストラはかく語りき」の有名な最初のメロディーは、「ドーソードー」ですが、これは5度と4度のメロディーです。

 

また、ギターやらキーボードをやっている方ならわかると思うのですが、Sus4というコードがあります。これはたとえばCsus4というコードであれば、「ドファソ」という和音になります。これは2度と4度の響きが強調されるような和音なのですが、このコードは非常に中性的な響きです。

この辺の話は深くすると大変なので、この辺で…。

 

なんでそうなるの?と聞かれると難しいのですが、こういう話を前提に「スフィンクス」を聞いてみると、かなり徹底して「4度・5度・2度」が使われていることがわかります。冒頭のメロディーは…

ミーラーソーレー ミーシーラーミー レーラーシーファ♯ー ソーレーミー

 

これはもう、ほんとに「4度・5度・2度」だらけのメロディーです。徹底してます。

さらに、伴奏の音をみても、5度が強調されています。曲の後半にいくと、2度を強調した伴奏に多用され、メロディーも2度・4度のオンパレードになります。コードでいうと、Sus4だらけです。

これにより、神聖というか、つかみどころのない荘厳な建物のような雰囲気を出しているわけですね。

 

ドラゴンクエスト10より「五重魔塔」

ほとんど「スフィンクス」の項目で語りつくしてしまったのですが、次はこの曲。

上記動画の3分45秒辺りからの部分に注目してみてください。(動画はその部分から再生されるようになってます。)

スフィンクス同様に、ドゥッディッドゥッディッドゥッディッみたいな、ブッパッブッパッブッパッブッパッみたいなリズムが低音の伴奏で流れていますよね。

この曲は和風な塔の曲なので、雅楽の要素が入ってきています。その関係で、この曲も実は4度やら2度を意識したメロディー・和音になっている…のですが、音形や繊細な和音使いなどで、スフィンクスとは全く違う雰囲気の曲になっています。分析というのは難しい、ということですね。

ちょっと無理やりかも知れませんが、普通の塔ではなく和風な魔の塔…ということで、若干異世界要素があるので紹介しました。

 

ドラゴンクエスト8より「終末へ向かう」

ドラクエ8のラストダンジョン、暗黒魔城都市の曲です。ラストダンジョンなのに、途中無限ループ的な平和な街並み風な場所があったりと、ちょっと異質なダンジョンです。異世界要素があるといえるでしょう。

3分辺りで、低音の伴奏風のが出てきます。(動画はその辺りから再生されます)

ちょっとテンポが速いので印象が少し違います。どちらかというと、ゆらゆらと揺れる不安な音形に近い印象があります。が、これもスフィンクスの伴奏と似た系統のものではあると思います。

 

ドラゴンクエスト8より「闇の遺跡」

1分30秒辺りから「闇の遺跡」が流れ始めます。

これはちょっと低音の伴奏とは違うのですが、途中、例の伴奏系がかなり主張してきます。遺跡の怪しさが出てますね。屈強な土台があるぞ、的な頑強さすら感じます。(動画はその辺から再生されるようにしています。)

 

ドラゴンクエスト6より「精霊の冠」

邪悪な曲ばかりになったので、神聖な異世界系の曲を入れてみます。これは夢の世界の魔法使いの村で流れる曲なので、異世界っぽいシーンですよね。大地の精霊のシーンでも流れます。

低音の伴奏系は一切出てきませんが、前半のメロディーが比較的4度が多いです。スフィンクスほど徹底的ではないですが、この曲の”どこか中性的で神聖な雰囲気”に一役買っていると思います。

精霊の冠:ラーミー ソーレー ラードミレラ ソドラミ レソミー

スフィンクス:ミーラーソーレー ミーシーラーミー レーラーシーファ♯ー ソーレーミー

スフィンクスと比較するとこうなります。ちょいと4度が目立ちますね。しかし、4度も使い方によっては中性的・神秘的・神聖な雰囲気ではなく、勇ましい響きにもなるから不思議。ドラクエの序曲の出だしは4度です(ソッソドー♪の部分)。

 

話を戻して…

伴奏系は「終末へ向かう」の低音伴奏をよりゆるやかに、繊細にして、”刻まれる足音”というよりも”揺れる気持ち”風にした伴奏になっています。ちょっと何言ってるのかわからん、となりそうな解説ですが、そうなってると思います。

具体的には「ミファミファミファ」のような揺れる音形の伴奏が、この曲の前半の特徴になっています。これを仮に「スフィンクス」のように和音で力強めに刻ませたとしたら、だいぶ印象がちがうことでしょう。

ちょっと無理やり異世界系の神聖な感じの曲を引っ張ってきた感じなので、あまり納得いかない部分もありそうですが、参考にはなったと思います。こんなところで。

 

 

まとめ

…といった形で、ほぼスフィンクスの話がすべてでしたが、ドラクエにおける「異世界系」の音楽の分析でした。ちょっと分類が難しすぎて、スフィンクスの分析だけにした方がスマートにまとまった気もしますが、これはこれで面白い考察になったと思います。

こういう記事は反論やら指摘やら「あの曲がない!」などの意見も来そうですが、私なりの解釈ということでお願いします。(ちなみに、7のダンジョンの曲は異世界というより邪悪感が強かったので外しました。)特殊な場面の曲だったので、最近のドラクエばかりになってしまいましたね。

異世界色々

ほか、ドラクエで「異世界」というと、7の過去フィールド「失われた世界」や、テリーのワンダーランドの「果てしなき旅」、5の魔界フィールドで流れる「暗黒の世界」なども頭に浮かびますが、これらはまたそれぞれ違うアプローチで作られた曲です。異世界というよりも、やはりフィールド曲という括りに入ってくると思います。

まあ、そんな区切り理論はどうでもよいんですけどね、やってみると面白い発見があったりもするわけです。

 

というわけで、荘厳&邪悪な異世界風な場所の曲を作りたいときは、低音にこの伴奏を付けて、メロディーを4度・5度中心にするなどしてみるとドラクエ風になるかも知れません。そこから新たに発展させていけばオリジナリティも生まれることと思います。

では、また次回やると思うので、そのときをお楽しみに。


 

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